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「振り付け」について
コメント欄での書き込みが切っ掛けで、「振り付け」について個人的に思うところを書いてみたくなりました。

普段何となく感じているところを言葉にまとめてみたものです。

特に「フィギュア界ではこういう考え方が常識」というわけでもないと思いますし、あくまでも個人的にそういう考えをするということに過ぎないので、参考程度に読んで頂ければと思います。

また、例外なんかもあることでしょうし、原則的にそう考えるという感じに捉えて頂ければとも思います。


====================


さて、「振り付け」ということですが。

皆さんの感覚として、振り付けというのは「プログラムに終始付いているもの」という感じに捉えられておられる方が多いでしょうか?

確かに、プログラム中のどのような場面であれ、腕や脚は絶えず何らかの形・動きを作っているわけで、そういった意味では「振り付けはプログラムに終始付いているもの」との考えも正しいと思います。

ただ個人的には、「振り付け」についてはそう考えるよりも、次のように考えると違和感が少ないように思えます。


すなわち、プログラムを「振り付けの無い状態」「振り付けの有る状態」の2つに分けて考えるというものです(これらはフィギュア用語ではありませんのでご注意下さいね)。

「何を言っているの?あたりまえじゃない」と思われるかも知れませんが、先ほどの「振り付けはプログラムに終始付いているもの」という考えを前提とすると、すべてが「振り付けの有る状態」となり、「振り付けの無い状態」というものが無いということになりますので、ちょっとその考えとは異なる(いや、結局は同じかな?)ものとなります。


それでは、「振り付けの無い状態」というのは何かといいますと…。

これは「素の振り付けの部分」ということになります。

では「素の振り付け」とは何かといいますと、『「プログラムに合わせて特に作られた振り付け」以外の振り付け』ということになります。

…具体例を挙げてみましょう。

以下のエントリーで紹介している佐藤有香さんのバッジテストお手本動画を見て頂きたいのですが…

バッジテストのお手本動画

例えば、初級動画の2:00以降くらいからのフォアクロスとスパイラル(最後にストップ)では、クロス時の腕の配置なんかも素の振り付けと考えられますし、クロスからスパイラルに移る際に一旦両腕を閉じ、そこから柔らかく腕を広げており、これなんかも素の振り付けですよね。

終わりのストップに移る際の腕の動きも美しく、こちらも素の振り付けです。

その次のバッククロスでは、スリーターンでバックにターンする際の腕の動き、バッククロスの回転方向を切り替える際のバックアウト時の姿勢、最後のチェック姿勢、更にその後に前向きになってからの「どう?」という感じの動き…などなど、全て素の振り付けです。

その他、初級以外の動画も全てを含み、ここでの佐藤有香さんの動作は全て素の振り付けとなります(と思います)(※)

(※)
踊ろう(綺麗に見せよう)としてなされた振り付け以外にも、スケートで滑るという動作の中で自然とそういう動きとなる合理的な動き(コンパルソリー時やターン時の腕や脚の動き…など)というものがあり、こういったものが振り付けっぽく見えることもあります。こういったものは踊ろう(綺麗に見せよう)としてそういう動きとなったものではないのですが、こういったものも「素の振り付け」に含めて考えてもいいと思います。

こういった振り付けは、特にこの時そうしようと決めて動かした動きではなく、普段の練習から自然とそのように動かしている、身に染みついた動作なんですね(と思います)(※)

(※)なお、こういった動作は、割と定番的な動作が幾つかあり、佐藤有香さんのお手本動画では、正にその定番動作の幾つかをお手本として実演されておられる…そのような印象を受けるものとなっています。

こういった部分を「素の振り付けの部分」と…延いては「振り付けの無い状態」と考えます。

つまり、「振り付けの無い状態」というのは、正確には「プログラムに合わせて特に作られた振り付けの無い部分での、素の振り付けの部分」ということになります。


他方、「振り付けの有る状態」とは何かといいますと…。
こちらは簡単で、「プログラムに合わせて特に作られた振り付け」の有る部分…ということになります。
コリオグラファー(振り付け師)の仕事は、主にこちらを考え出すことということになると思います。


…ということなんですが。

話を元に戻しますと、「振り付けの無い状態(=素の振り付けの部分)」と「振り付けの有る状態」、この2つが組み合わさってプログラム(の振り付け)は構成されていると個人的には考えます。

個人的に重視すべきと思うのは、「振り付けの有る状態」よりもむしろ「振り付けの無い状態(=素の振り付けの部分)」の方なんですね。

ここを見ればその人の力量(地力)がよく分かると思います。

幾ら「振り付けの有る状態」が派手であっても、素の振り付けが癖のあるものだったり、今一つ優雅でないような場合は、その「振り付けの有る状態」は単なる誤魔化し…というように感じてしまうんですね。

また、プログラム中の素の振り付けの部分が手を抜いているように感じられると、その選手は普段の練習から素の振り付けについて手を抜いている…延いては普段の練習から滑りも手を抜いている…と、そのように感じてしまいます(※)

(※)滑りというのは、素の振り付けと渾然一体となった技術であるように思うためです。普段のスケーティングの練習(円クロス(円の周りを延々とクロスし続ける練習。上の佐藤有香さんの円クロス…8の字も混ざっていますが…を参照)など)で散々先生に姿勢等のチェックを受けるのは、その一つの裏付けだと思うところです。


「振り付けの無い状態(=素の振り付けの部分)」…この部分が癖のない自然な動作でこなせているかどうか…そういう観点で演技を見ると、選手を見る眼もまた異なってくるのではないかと思います。

 


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[2010/04/19 22:28] | 技術関連 | トラックバック(0) | コメント(21) | page top
バッジテストのお手本動画
…ええと、先日のジャパンオープンネタを期待されて来られた方…。

ごめんなさい!

今回そのネタはありません…。





実は、TVでジャパンオープンを観た後、そのネタで何か書こうかな~とは考えていたんです。

でも…こんな動画を見つけてしまっては、いてもたってもいられません。


バッジテスト見本 初級

バッジテスト見本 1級

バッジテスト見本 2級

バッジテスト見本 3級①

バッジテスト見本 3級②

バッジテスト見本 4級

バッジテスト見本 5級


…な、なんと!!

佐藤有香さんがお手本になっているじゃないですか!?

こんなビデオ、あったんんだ…。


………………。


……………。


………。


やっべ…すげー見入る…。


身体がうずうずする…。


………。


動画…パソコンに保存しておこ。





バッジテスト…前にも書きましたが、剣道などの段位試験に相当するものです(初級~8級まで)。

動画にあるのはそのテスト内容の一部で、コンパルソリーや各種ステップ(の一部?)なんかが収録されているようです。

…中京大のリンクで撮影されている…ということは、最近の映像ということでしょうか。

私の頃とはテスト内容がやはり異なっていますね。

…最近はまたテスト内容が変更され、コンパルソリーが廃止されたとか何とか…(その代わりステップが難しくなった?)。





ええと、完全に自己満足的ですが、ちょっとビデオの内容を解説してみましょう。

興味のある方だけ読んで下さい。


バッジテスト見本 初級


まず「ハーフサークル」

コンパルソリーの一種ですね。

これを練習するだけで、不思議とスケートの基礎力が上がります。

本当はサークルを描くべきなのですが、初級レベルではサークルを丸々一つ描くのは難しいので(多分そういう理由だと思います)、ハーフサークルを連続で描きます。

フォアアウトが1番、フォアインが2番、バックアウトが3番、バックインが4番…と、それぞれ番号が振られていたりします。


一見ものすごく簡単そうなのですが、初めはとても出来ません。

また、何となく適当そうにやっていますが、守るべき注意点は山ほどあります。

足のつま先から指のつま先、目線、姿勢、肩等の力の抜きよう、各種変化のタイミング…ものすごく神経を使う練習です。

これを無意識に出来るようになるまで、何百回・何十時間と繰り返します(その後サークルに移っていきます)。


この練習により、「乗り」や「腰を止めるとはどういうことか」や「フリーレッグや腕の適切な配置位置」なんかが分かってきます。

あと、3番や4番の「スタート時」や「円の切り返し時」の『バックインの押し』…これが初めはかなり難しく、すごく練習することになるのですが、バックスケーティング時のバックインの押しに繋がりますので、必ずここでしっかり練習します。


…なお、恐らくコンパルソリーを競技として経験された世代の方からすると「ヌルい!」と怒られてしまうかも知れないのですが、個人的にはトレースをきっちり重ねるような練習(※)までは不要だと考えています(ここではハーフサークルですが、普通にサークルを描く場合の話として)。

(※)コンパルソリー競技は、円を左右3回ずつ、計6つの円を描き、それらの円のトレースを如何に重ねるかが勝負だったと聞いています。

大体の円の大きさが合っていれば良く、後はエッジを安定させ、乗りの感覚を足の裏で感じ取ってその感覚を覚えたり、腰が回らないように注意したり、姿勢等に注意したり…といった点に神経を使いさえすれば良いと、個人的には思うところです(後はこれを延々と繰り返す)。

「トレースをきっちり重ねることが出来る技術」と「スケーティング技術」は、必ずしも正比例するとは限らないと思えますので…。


次は「フォアクロス」

プログレッシブとかの意味は私もよく分かっていません。(だめじゃん)

私の頃はスパイラルとかストップとか無かったのですが…。

というか、確か、スパイラルって(私の頃は)2級か3級の課題だったような…。

それが初級に…。


そして「バッククロス」

パラグラフっていうのは、8の字のことです、多分。(オイ!!)

バッククロスで8の字のコースを辿ればいいんですね。

…今回の一連の動画での見所その1です。

いや~まさにお手本という感じで、うっとりします。

実際の練習では、8の字よりも主に円で練習し、その円の周りをぐるぐる回りながらクロスする練習をします(「円クロス」という練習方法ですね)。

こういった上手な人にお手本で滑ってもらって、そのすぐ後を追いかけて滑り、それを見ながら真似をすることでバッククロスを練習する…というのが効果的な練習方法の一つですね。


バッククロスというのは、スケーターがその生涯を掛けて習得していくもので、上級者でもその鍛錬は怠りません。

ここまでやればOK…という上限がない、天井知らずな技術とでもいいましょうか。

スケーティングの代名詞と言っても過言ではないでしょう。

ここがしっかり出来るスケーターはやはり尊敬されますし、ここを見るだけでその人のスケートの技量がおおよそ分かってしまう…そんな技術だと思います。

ちなみに、フォアクロスも勿論練習はするのですが、フォアクロスはある程度出来るようになればそれ程差は出にくく、一定レベルを超えてからは練習量は減っていくので、バッククロスの方が練習の比重としては重くなります。


バッジテスト見本 1級


「チェンジ」

凄い簡単そうですが、さにあらず。

チェンジ時にエッジが悲鳴を上げたり、チェンジ直前にトレースのカーブがきつくなったり、チェンジ後に腰が回ったり…といったのはNGで、そうならないようにするためには練習が必要です。


「ワルツ(スリーターン)」

フィギュアをやっている者でしたらお馴染みの音楽。

3拍子ですね。

…あれ? ステップのリズムってこんなんだっけ??

私の頃は、最初の1・2・3でフォアアウトスリー、次の1・2・3でバックアウト…という感じだったと思うんだけど…。


「バッククロスと云々」

こんなテストあったっけ…?

…だ、だめだ…完全に忘れてる…(音楽は覚えている)。

…それはともかく。

見所その2です。

………。

スリーターンが上手です。

たまらんです。

今の選手でこういう感じのターンは中々見られないんじゃないかと思います。

そこからのバッククロスへの繋ぎ方もいいですし、バッククロスは言わずもがな…。

上半身の動きもなめらかで、理想的だと思います。


■バッジテスト見本 2級~5級


あとは当ブログで紹介した各種ターンなんかですね。

用語等を適当に紹介しますと…。


「サーペンタイン」…というのは、私もよく分かっていないのですが、多分Sの字のことですね。

ですので、例えばステップシークエンスをSの字でやると、サーペンタインステップシークエンス…というものになります(確か)。

で、コンパルソリー的にサーペンタインといった場合ちょっとこれとは意味が異なり、まずハーフサークルを描き、そこでチェンジし、引き続き逆方向の(完全な)サークルを描く…というものになると思います。

間違っていたらゴメンナサイ…。


「パワーステップ」…私はこのステップ(バックアウトスリー→モホーク)をこういう名称で呼ぶというのは知らなかったのですが、非常に定番のステップで、様々な場面でよく見かけます。


「片足スネーク」…なんでこれが3級に?? 3級以前の、もっと基礎の段階から普通練習でやっているものだと思うのですが…。


「ブラケットターンのステップ」…4級のビデオですが、一見「バックイン→ロッカー→フォアイン→ロッカー→繰り返し」という以前紹介した定番ステップに酷似しており、ほとんど区別がつかないのですが、一応「バックイン→スリー→フォアアウト→ブラケット→繰り返し」ということになっているようです。


「ツイズル・チェンジ・ステップ」…同じく4級のビデオですが、今回の一連の動画の中で一番難しいのではと個人的には思います。

どこが難しいのかと言いますと、チェンジ後にフォアアウトになった場合に、ここからツイズルというのが難しいと思います(なので、さすがの佐藤さんも、その部分のツイズルは少々ぎこちないように思います)。

チェンジ後にフォアインとなった場合はさほど難しくはないのですが…。


「ループ」…5級課題ですが、ループはフリーレッグの動きが重要ですね(ループに限ったことではないですが)。

ループの場合、フリーレッグの動きが他と比べて特徴的で、「クリッ」と空中で小さな円を描くようにフリーレッグを動かします(フォアアウトの場合はちょっと違いますが。…あ、バックアウトも違うか…)。





と、そんな感じで、適当なことをウダウダと書いてみました。

基本的に私見なので、間違っていたらゴメンナサイ。

地味な内容でしたね…。

 


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[2009/10/04 22:17] | 技術関連 | トラックバック(0) | コメント(6) | page top
両足で行うターンの種類 #02
思っていたより長文になってしまいました…。

読み疲れる文章だとは思いますが、宜しければお付き合い下さいませ…。


==========


■チョクトー




【図:チョクトー】



随分縦長の図になってしまってスミマセン…。

Choctaw …「チョクトー」「チョクトウ」…どちらの呼び方が正しいのかよく分かりませんが、取り敢えずここでは「チョクトー」で統一したいと思います。

モホークと同様、アメリカのインディアン部族の名称がその名前の由来だとか…。


<<チョクトーとは?>>


まずは以下の動画を見てみて下さい。

チョクトーの例1
(チョクトーは取り敢えずこんな感じ…とワザと平坦に滑っています)

チョクトーの例2
(こちらの方はよりエッジが深く、実践的な滑りだと思います)

図のように「フォアイン→バックアウト→繰り返し」としていますよね。

動画でもあるように、フォアインのときは、フリーレッグを前に押し出すように配置するのが特徴です(このフリーレッグの動きが無いとチョクトーっぽくならないです)。

大概2回くらいピョコピョコ繰り返されますので、スケート経験のない方でもパッと見て「あ、これはチョクトーだな」と判別しやすい、そんなステップだと思います。


<<曖昧なところ>>


…ただ、私もちょっとよく分からないのですが、この…

①「フォアイン→バックアウト→繰り返し」

…のパターンのみをチョクトーと呼ぶのか、あるいは次のようなパターン…

②「バックアウト→フォアイン→繰り返し」
③「フォアイン→バックアウト(繰り返し無し)」
④「バックアウト→フォアイン(繰り返し無し)」

…といった場合もチョクトーと呼ぶのかどうか、正確な定義が分からないままでいます(③を特にオープン・チョクトーと呼ぶのでしょうか?)。

が、一般的にチョクトーを練習するときは、フォアインからスタートし、「バックアウト→フォアイン」を2回くらい繰り返してフォアインで終わる…というのが通常の用法ではないかと思います。

まあ、この辺りはそれ程重要なことではないので、「大体こんな感じがチョクトー」という理解さえあればいいと思います。

ちなみに、実際の演技上では③や④が単発的に用いられることも多いです。


<<難度>>


さて、このチョクトーなのですが、実は中々難しい技術だったりします。

上の動画では簡単そうにやっていますが、それは上手だからです。

それなりの基礎力が無いとサマにならない(※)…そんな技術だと思います。

(※)初級者にありがちなのですが、仮に何となく出来た場合であっても、上で述べた「特徴的なフリーレッグの動き」をスムースにやれない(フォアインに乗った後に、「特徴的なフリーレッグの動き」を無理矢理後付けしている感が強いものとなる)…となってしまうことが多いですね。

これは、フォアインに深く乗れないので次のバックアウトを適切に置くことが出来ず、そしてバックアウトに深く乗れないので次のフォアインを適切に置くことが出来ず…と悪い流れが連続して、終始グデグデになってしまうためかなと思うところです。

それもそのはずで、バッジテスト(※)なんかでも確か4~5級(ダブルジャンプをポンポン跳ぶレベル)位だったかな? そういったレベルからの課題として登場するくらいですから。

(※)バッジテストというのは、剣道なんかの段位試験のようなものですね。初級・1級~8級まであったのかな?(8級が一番難しい) TVで見かけるような人は、大体7級の方じゃないでしょうか。8級は名誉級のようなもので、ほとんど誰も取らない(7級まで取れば試合の出場条件を満たすので、8級は取る実益がない)…ということだったと思います。

エッジに深く乗れる力が身に付き、各種ターン(片足・両足問わず)での上半身の使い方を正しくマスターして、ようやくできるようになってくるステップだと思います。


なお、前回のエントリーの「モホーク」の項目で述べた「幅」については、チョクトーについても同等のことが言えます。

ただ、チョクトーの場合、デフォルトが「幅が狭い状態」で、この「幅」を広くしようと思うと、かなり大げさにエッジに深く乗ることを意識しないとならないように思え、そういった事情から、実際の演技上では「幅が狭い状態」のチョクトーが主に用いられる…と思えます(でも、普段のトレーニングで「幅」の広いチョクトーを練習することは、基礎力を鍛えるのにとても有効だと思います)。


<<他のターンに与える影響>>


ところで、チョクトーができるようになってくると、他の各種ターンがより上手になってくるんですよね。

チョクトーで得た技術が他のターンの技術にフィードバックされる…といった感じでしょうか。

中でも、チョクトーを習得することでより進化するターンが「モホーク」です。

チョクトーで鍛えられたフォアインの乗りにより、モホーク後のバックインがとても置きやすくなり(※)、「幅」も容易に広くすることが出来るようになり、腰が流れることのない、極めて安定したモホークが出来るようになります。

(※)感覚的には、チョクトーの練習で「フォアインの後にバックアウトを置く」といった難しいことに慣れてしまうと、モホークの「フォアインの後にバックインを置く」というのが何でもなく簡単に思えてしまう…といった感じでしょうか。

そして、ここで得た腰を止める技術は、ジャンプのプレパレーションでモホークを使うもの(モホークからのフリップ等)などで大いに役立ってくれます。

次の高橋大輔選手のモホークからのフリップなんかでも、モホークの右フォアインのときに左足(フリーレッグ)がピョコっと一瞬前に出ていますよね。

参考VTR:高橋大輔選手・モホークからのフリップ(2:49辺り)

これなんかはスケーターとしてとても共感の出来る動きで、チョクトーのフリーレッグの動きの名残…と考えることも出来ます。

…まあ、名残云々と言うより、合理的な動きをすると自然とそうなってしまい、同じく合理的な動きであるチョクトーの動作と一致するのは必然…ということなのかも知れません。


<<競技上の実例>>


では、実際の使用例を見てみましょう。

上の高橋選手の動画ですと、4:58~4:59辺りでやっていますよね。

この場合、「バックアウト→フォアイン」×2…という、バックアウトからスタートするチョクトーとなっており、一般的なフォアインスタートのチョクトーとは少し異なる味付けがなされているのが特徴でしょうか。

演技上は、このようなバックアウトからのチョクトーがよく用いられるように思います。


同様の例としては…

参考VTR:佐藤有香選手・チョクトー(3:02辺り)

この例の場合、余りフリーレッグを前に押し出すように配置してはいませんが、ステップのテンポが上がるにつれこのようになる傾向があり、シングル的にはこれはこれでありなんじゃないかなと思います(それっぽい見た目の形とフットワーク感があればOKだと思います。ただ、純粋にチョクトーの練習をする場合は、最初の節で紹介したお手本動画のように練習すべきだとは思います)。


フォアインスタートの例としては…

参考VTR:村主章枝選手・チョクトー(2:13~2:14辺り)

まあ、フォアインスタートにしろバックアウトスタートにしろ、ステップの構成によって自由に出来る…ということですね。


最後に、個人的に最も印象に残っているチョクトーの映像を一つ。

参考VTR:アレクサンドルファデーエフ選手・チョクトー(2:08辺り)

これは以前にも紹介した動画なのですが…。

この場面だけは何度観ても「チョクトーすごー!!」と思ってしまいます。

カメラアングルの寄与もあるのかも知れませんが、これほど(シングル的な)チョクトーの凄さを表している場面というのは、ちょっと他ではお目にかかれないと思います。



■チョクトーの変形


これまでは、謂わば「チョクトーらしいチョクトー」を見てきました。

でも、実際の演技上では、そういったものより、むしろ、「チョクトーらしくないチョクトー」とでも言うべきものの方が見かける場面が多いのではないかと思います。

「チョクトーらしくないチョクトー」…となると、それは最早チョクトーとは呼ばないんじゃないかとも思うのですが、特に決まった呼び方もないので、ここではそれを「チョクトーの変形」として扱っていこうと思います。

(なお、「チョクトーの変形」というのもフィギュア用語ではありませんので、他所では通用しません。便宜上そのように呼んでいるだけですので、その点は留意しておいて下さいね)

では「チョクトーの変形」とは何ぞや?…というと、ここでは以下のようなものを指します。




【図:チョクトーの変形】



足形が混み合ってきましたので、各々の瞬間を肌色で表してみました(つまり、各々の肌色で囲っている部分が各々の瞬間の足の配置を表しています)。

図のように「バックアウト→フォアイン→バックアウト」というステップ…これがここで言うチョクトーの変形であるわけですが、使用するエッジやターンの回転方向は通常のチョクトーと同じです。

では何が違うのかと言いますと、次の点が異なります。

(内容が前後して申し訳ないですが、下の方で3つ紹介している具体例のVTRを先に見て頂いた方が、以下の文章の理解が容易になるかも知れません)


==========


①ターンの瞬間の両足の配置が、通常のチョクトーの場合はほぼ並行に並ぶのに対し、チョクトーの変形の場合はそれが少し前後にズレた配置となる(ことが多い)

〔解説〕足の配置については図をよく見比べて貰えれば分かり易いと思います。


②通常のチョクトーのフォアイン時の「特徴的なフリーレッグの動き」が、チョクトーの変形では希薄になる

〔解説〕悪く言えば、ターン時の左右の脚の形が若干「がに股」のような形になることが多いです。


③チョクトーの変形の場合、「バックアウト→フォアイン→バックアウト」といった「バックアウトからのスタート」のみが用いられ、「フォアインからのスタート」というのはまず誰もやらない

〔解説〕チョクトーの変形では、バックアウトの乗りを主軸とし、そこから一時的にフォアインの仮の乗りを作り出し、再びバックアウトの乗りに戻る…というのが感覚的な表現として妥当だと思え、故にバックアウトからのスタートしか存在しないのかなと思うところです。…例え話として、音楽で、転調してすぐに元の調に戻る(一時転調?)というのがありますが、あれとよく似た感じかなと思います。


④チョクトーの変形の場合、「バックアウト→フォアイン→バックアウト」とステップを踏み、そこから他のステップに繋げることが多く、通常のチョクトーのように2回繰り返すといった用いられ方は、まずされない

〔解説〕以下、ちょっと難しいでしょうから読み飛ばして頂いて構いません。

なぜ通常のチョクトーのように繰り返されないのかというのを考えてみますと…。

一つの理由として推測できるのは、「このステップを繰り返したところで今一つ格好良くない」「このステップを繰り返すくらいなら、チョクトーを素直に繰り返した方が見栄えがよい」…という、見た目の問題。

そしてもう一つ、以下のような理由が考えられます。




【図:チョクトーの変形・解説】



図がちょっとゴチャゴチャしていて申し訳ないのですが…。

ひとまず(X)の部分は無視して頂いて、図の中に「右バックアウト(A)→左フォアイン(B)→右バックアウト(C)」というチョクトーの変形があることを確認して下さい。

ここの(A)と(C)は同じ「右バックアウト」というエッジであるわけですが、両者の感覚的な意味合いは若干異なり、(A)の後に(B)には移り易いのですが、(C)の後に(B)を付けてその(B)に移るというのは、同じ「右バックアウト→左フォアイン」というステップだとしても、やりにくくなってしまう…といった差異が生じるように思え、これがチョクトーのように繰り返されない理由だと思います(恐らく)。

…というのは、(A)の一つ前のステップは、次の2つを目的とするステップ…

「(A)→(B)のターンの回転をやり易くするため」及び
「左足の流れをスムースにするため(図の赤い点線で繋ぐと左足の流れがスムースであることが分かると思います。なお、赤い点線は氷上のトレースではなく、流れを示すものに過ぎません)」

…具体的には、

「左バックインの押し→右バックアウト」

というステップ(これを(X)とします)が多く、このステップ(X)があるからこそ(B)に移り易いのであり、これが無い(C)からは(B)に移りにくい(全く無理ということでもないですが)…そのように考えるためです。

ですので、仮にこのチョクトーの変形を繰り返すのであれば、 (X)→(A)→(B)→(C)→(B)→(C)…とするのではなく、 (X)→(A)→(B)→(C)→(X)→(A)→(B)…という具合に、(C)の後に(X)を新たに置いて、右バックアウトを(A)の右バックアウトにリセットしてやることで、その後の(B)が自然にやり易くなるんじゃないかと、感覚的にはそのように思うところです(でもその場合、チョクトーらしい繰り返し感が全く無くなるのですが…)。


==========


…ええと、ちょっと難しい部分もありましたが、まあそういった部分は置いときまして…。

やはり具体例を見るのが一番だと思います。

参考VTR:伊藤みどり選手・チョクトーの変形(1:01辺り)

参考VTR:佐藤有香選手・チョクトーの変形(2:57~2:58辺り)

参考VTR:高橋大輔選手・チョクトーの変形(3:51~3:52辺り)

佐藤選手・高橋選手の動画は上で紹介したものと同じです。

全て「右バックアウト→左フォアイン→右バックアウト」というステップになりますが、伊藤選手・佐藤選手については、このチョクトーの変形の一つ前のステップに「左バックインの押し→右バックアウト」というステップ(上図の(X)のことです)を用いており、高橋選手はそのステップの代わりに「右フォアインスリー→右バックアウト」というステップを用いており、チョクトーの変形への入り方に違いがありますよね(高橋選手の場合は、その(X)がこのステップに入れ替わったということです)。


また、チョクトーの変形を終えた後の右バックアウトからのステップにもそれぞれ違いがあります。

伊藤選手の場合は「右バックアウト→バッククロス→左バックインロッカー→バッククロス」という定番ステップへと繋いでいます。

佐藤選手の場合は「右バックアウト→スリーターン」と繋いでいますが、同時に左フォアインへの乗り換えも行っているような感じで、とても独特な、型に当てはまらない、佐藤選手独自のステップになっていると思います。

高橋選手の場合は「右バックアウト→カウンター」と、中々面白い組み合わせを用いていますよね。


このように、様々なステップとの組み合わせでチョクトーの変形は用いられます。



■片足のエッジをキープしながらのステップ


まずは次の図を見てみて下さい。




【図:片足のエッジをキープしながらのステップ #01】


…先ほどの「チョクトーの変形」とよく似ているのが分かりますでしょうか?

でも、よく見ると一点だけ明らかに異なる部分があります。

「右バックアウトが繋がっている」んですよね。

実例を挙げてみますと…

参考VTR:佐藤有香選手(0:44・3:16辺り)
(注:3:16のものはもしかしたら右バックアウトが繋がっていないかも知れないです)

参考VTR:高橋大輔選手(3:09~3:10・4:36辺り)

主軸は右バックアウトで、この右バックアウトをキープしたまま、左フォアインに一時的に乗り、そしてまた右バックアウトに戻る…と、チョクトーの変形の場合と殆ど同じ感覚でなされるステップです。

ただ、この場合の左フォアインは、「乗る」というよりも、「左フォアインで氷を軽く押すだけ(或いは、氷に軽く触るだけ)」といった性質が強まる…そんな感じになると思います。

見た目にも感覚的にもチョクトーの変形とほぼ同じで、区別する必要は無いとも思うのですが、ステップの一つのバリエーションとして覚えておいて貰えればと思います。





もう一つ、同様のステップを挙げておきましょう。




【図:片足のエッジをキープしながらのステップ #02】
(注:ここでは各々の瞬間を緑の点線で囲んで表しています)


参考VTR:浅田真央選手(1:51~1:52辺り)
(なお、ここでは関係ないですが、1:43~1:44・1:54~1:55辺りにはチョクトーの変形が、3:03~3:04辺りにはチョクトーが使われていますよね)

浅田選手の得意ステップであるように思います(何となくそう思います)。

このステップ後のバックインをバックアウトにチェンジし、バッククロスに繋げる…と動画ではなっていますが、これは結構定番のステップパターンだったりします。


流れを解説しますと…。

まず①で左バックインに乗り、次の②で左バックインをキープしたまま右フォアインを置きます。

この②の時、左脚は伸ばし、右脚は曲げている状態となるのですが、この状態が「両足がインサイドのイナバウアー」(※)をやっているような状態になるのが特徴です。

(※)通常のイナバウアーは、身体の右側を進行方向とした場合、使用エッジは「右フォアアウト+左バックイン」となります。これが「右フォアイン+左バックイン」となるわけですね。

そして③で曲げていた右脚を伸ばし、氷を押します。

最後に④で片足…左バックインに戻る…という流れになります(勿論左右逆バージョンも存在します)。


終始左バックインは着氷したままですが、先に述べたステップの場合のような、どちらかの足を主軸とする…といった性質は幾分薄まり、左バックイン→右フォアイン→左バックイン…と、割と重心がはっきり移動するような感じになりますでしょうか。


…ところでこのステップ、前回のエントリーとの絡みで考えますと、①②の部分が「イン抜け」、③④の部分が「クローズド・モホーク」と捉えることも出来るんですよね。

既存技術の組み合わせ・応用…ということですね。


応用…といいますと、このステップ、様々なバリエーションに変化させることができます。

例えば、上の佐藤選手の動画の1:41辺りのように、まず右足(右フォアイン)を先行させ、その後に左バックインを置いて、図の②の状態を作り出す…というのもアリですし、更にその例では、その後、右フォアインでスリーターンをして右バックアウトに乗り(この間左バックインはキープしたままです)、この右バックアウト・左バックインをそのままバッククロスに用いる…と、中々考えられたステップになっているなと思うところです。

他には、図の②か③辺りで、左バックインをキープしたまま、右足を「右フォアイン→ロッカー→右バックイン→ロッカー→右フォアイン」とするものなんか定番ですね。



■その他


その他、シングルで使われそうな両足ターンを挙げてみますと…。

・左フォアアウト→右バックアウト

これを「アウトサイド・モホーク」というのでしょうか? 高橋大輔選手が割と使っているように思います。バックアウトをそのままバッククロスに繋げることが多いですね。ターンの回転方向はブラケットと同じになります。

・左フォアアウト→軽くスリージャンプ→右バックアウト

スリージャンプというのは、アクセルと同様にジャンプして、空中で半回転だけして降りるジャンプのことです。「軽く」というのがポイントですね。トウステップなんかと組み合わせると効果的だと思います。ターンの回転方向はスリーターンと同じになります。

なお、これらの左右逆バージョンも存在することは言わずもがな…ですね。



==========


…以上です。

ここまで頑張って読んで下さった方は、本当にお疲れ様です。

これで「両足で行うターン」はおおよそ押さえたかと思います。

………。

「だからどないやねん?」と言われると辛いのですが…。

こういった情報を知りたい方も、きっと居ますよね…?



(おわり)

 


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[2009/09/05 19:57] | 技術関連 | トラックバック(0) | コメント(8) | page top
両足で行うターンの種類 #01
以前のエントリー、「片足で行うターンの種類」では、題名の通り、片足でのターンを説明しました。

今回はそれの続編的な位置づけのエントリーとして、「両足で行うターンの種類」を説明していきたいと思います。

基本的にそのエントリーを読んでいるものとして話を進めていきますので、未読の方はそちらの方にまず目を通して貰った上で以降を読み進めて貰いますと、今回の内容の理解が容易になるのではと思います。


==========


スリーターン・ブラケット・ロッカー・カウンター…といった「片足で行うターン」は、ターンの前後で同じ足を使用するというものでした。

対する「両足で行うターン」は、ターンの前後で異なる足を使用することになります(※)

(※)なお、トウを使うステップ(=トウステップ)でも、両足を使って身体の向きを変える…といった種類のものも多いと思いますが、このエントリーではトウステップは説明しません。

今回説明するのは、そのようなターンについてです。


両足で行うターン…もちろん幾つかの種類があります。

その中にはアイスダンスでしか目にすることの無いようなターンもあったりするのですが…。

そういったものはここでは説明しません。

私自身、アイスダンスの知識に乏しいものですから…。

というわけで、ここではシングルでよく使われるターンに限って見ていくことにします(原則)。

アイスダンス的な解釈からすると誤っていることもあるかも知れませんが、シングル的視点から個人的に思うところを書いていきたいと思います。




【注意】 両足で行うターンには、一つのターンにつき、「右足→左足」のパターンと「左足→右足」のパターン…という2つのパターンが存在します。以下の各図では、このどちらかのパターンしか記していません。各図で示したパターンとは左右逆のパターンも存在すると考えて下さい。


■モホーク


【図:モホーク】
 
〔図の説明〕
 青矢印 : 進行方向
 黒矢印 : ターンの回転方向
 足形が二つある部分 : ターン時のおおよその両足の配置


<<特徴>>



フォアからバックに向きを変えるターン。バックからフォアに向きを変えるモホークというものは存在しない。 スミマセン…どうやら必ずしも「フォア→バック」のパターンのみがモホーク…というわけではないようです。…が、シングル的に何の断りもなくモホークと言った場合、図のようなターンを指すのが一般的だと思います。

・「右フォアイン→左バックイン」とその左右逆バージョン(左フォアイン→右バックイン)の2種類がある。


<<解説>>


スリーターンと並ぶ、フィギュアスケートの基本ターンです。

…多分、スリーターンよりも先に習うのが通常じゃないのかな?

足を踏み換えるだけという単純なターンですが、初級者・上級者に関わらず、フィギュアでは誰もが使うターンです。


しかし、モホーク一つ取ってみても、初級者のそれと上級者のそれとでは随分異なるものがあります。

初級者・上級者でモホークの何が異なるのか…というと、細かい点は色々とあるのですが、一番の違いはやはり「ターン時のフォアインの乗り」ではないかと思います。

図を見て貰えれば分かると思いますが、右フォアインのトレースのカーブが、ターン時に急に深くなっていますよね。

そうなる一つの理由としては、こうしないと次の左バックインを置き難くなってしまう(※)ためなんです。

(※)バレエのように両「足(脚ではないですよ?)」が180度左右に開く(自分から見て両足が「 _ _ 」と開く)のなら、置くのが簡単(※2)なのかも知れませんが…。図では135度くらいの両足の開き(「 _ / 」という感じ)で対処しているのが解りますよね。

(※2)これは逆に言うと「柔軟性があるとエッジに深く乗らなくてもターンできてしまう」ということです。つまり、スケート技術が未熟であっても、柔軟性である程度はカバーできてしまう…ということでもあります。…が、これは余り好ましいこととは私には思えません。結局は技術が未熟であることには変わりなく、柔軟性で誤魔化していると考えてしまうためです。個人的には、モホークに限らず、このように柔軟性がかえってアダとなる…技術の向上を阻害する…といった場面がフィギュアには多いと思うところです。

初級者のモホークでは、このフォアインの乗りが浅く、そのカーブも浅いため、あるべき進行方向の角度にバックインを置くことができず、それとはズレた角度(=大きく円の外側に向いた角度)にバックインを置いてしまい、

「ターン後のバックインでよろついてしまう」
「バックインで綺麗な円状のトレースを描けない」
「トウを氷に引っかけてしまう」
「エッジで氷の削りカスを出してしまう」

…ということになりがちですね。


また、初級者と上級者のモホークを見分ける方法としては、「幅のあるモホークができるかどうか」という点に着目するという方法もあるように思います。

ここでの「幅」とは…簡単に言いますと「ターン時の右足と左足の距離」ということになりますでしょうか。

この「幅」を広くできるのが上級者のモホークということになります。

なぜかと言いますと、上で言いました「ターン時のフォアインの乗り」(←初級者はこれが苦手)を深くしないと「幅」を広くすることができないためです。

…もっとも、モホークが上手だからといって必ず「幅」を広くするとは限らず、状況に応じて意図的に「幅」を狭くすることもあります。

が、一歩一歩を強く押して積極的に推進力を出そうとすると、自然と「幅」が広くなるのが通常でしょうね。


ちなみに、左右の足がくっつく位の「幅」の狭いモホークを高い質でこなすのは、それはそれで難しいです(上述の初級者が「幅」を出せないという話とはワケが違います)。

そういったモホークは、推進力を積極的に求めて…というシングル的な感じではなく、アイスダンス的な感じとなるように思います。


「幅」が広いほど上手なモホークで、それが狭いほど下手なモホーク…ということではありませんので、その点は誤解の無いよう注意して下さいね(※)

(※)「幅」の広いモホークが『できない』人は技術が未熟…と言うことはできると思いますが、「幅」の広いモホークを『しない』人を技術が未熟とは必ずしも言うことはできない…ということですね。

ターンの上手下手は、その安定性・正確さ・リズム・力強さ・美しさ・上半身の使い方・膝の使い方・乗り…といった点で最終的に判断することになると思います(これはモホークに限らず全てのターンで言えることです。特に「ターン直後のエッジの安定性・正確さ」が重要だと個人的には考えます)。


<<オープンとクローズド>>


モホークには「オープン」と「クローズド」という種類があります。

これまで話してきたのは、この「オープン」という種類のモホークです。

では「クローズド」はどういうものかというと、次の図のようなものとなります。



【図:クローズド】


シングルではまず見かけず、主にアイスダンスで使うのだと思います。

シングル的ではないので説明不要かなとも思うのですが、後の話題との関係で、これだけは(軽くですが)ちょっと説明したいと思います。


図を見比べてみて違いが分かりますでしょうか?

ほとんど同じです。

…が、一点だけ異なります。

「バックインを置く位置」が異なっていますよね。

バックインについて、「オープン」が「円の中心側(内側)に置く」のに対し(※)、「クローズド」では「円の外側に置く」となっていますよね。

(※)なお、オープン・モホークで「幅」の広いターンを行おうとする場合、ターンを行っている本人の感覚としては、バックインを「円の中心側に置く」という意識が強くなる傾向があると思います(置く位置を円の中心に寄せるほど「幅」が広くなる…という感じ)。

まあ、こういったターンがあるということだけ頭の片隅に留めておいて下さい。

「オープン」「クローズド」といった言葉も、まずアイスダンスでしか使わないと思いますので、余り気にする必要はありません(シングルでは「モホーク」という言葉一つで済ませるのが一般的だと思います)。


ちなみに、「オープン」のときに話した「幅」云々については「クローズド」には当てはまらないように思います(というか、よく知らない)ので、こちらも気にしないで下さいね。




■バックからフォアへの「名前の無いターン」


以下で紹介するものが、一般的には果たして「ターン」と呼べるのかどうかは分かりませんが、以前のエントリーで、このブログでは「ターン」の意味を「前後の向きを切り替える動作を指す」としましたので、以下のものも「ターン」として扱っていくことにします。


<<その1>>



【図:名前の無いターン #01】


個人的にはこれを「アウト抜け」と呼んでいました(※)

(※)以下で紹介するターンについても、私が個人的に呼んでいた名称を紹介しますが、その名称は基本的に他所では通用しないと思います(つまりフィギュア用語ではない)ので、その点は注意して下さいね。

「バックアウト→フォアアウト」というターンです。

この形…どこかで見覚えはありませんでしょうか?

…そうです。

アクセルのプレパレーションと同じなんですよね。

ですので、皆さんこのターンのことはよくご存知のはずです。

もちろんアクセル以外の場面でもよく用います。

ジャンプのプレパレーションがらみということで言いますと、このターン後の左フォアアウトからスリーターンをすると立派なサルコウのプレパレーションになり、よく見かけますよね(フリップのプレパレーションなんかでも可能ですが、「このターン」→「スリーターンからのフリップ」というのはかなりマイナーだと思います)。
参考VTR:佐藤有香選手・サルコウのプレパレーション(1:53辺り)


その他の用法ですと、例えば…。

ジャンプ後のチェック(決めポーズ)が右バックアウトですので、ここから左フォアアウトで踏み出す…というのが、このターンを用いる場面の代表の一つでしょうか。
参考VTR:浅田真央選手(1:37~1:38辺り)

スピンのプレパレーションで「右フォアインスリーから入るパターン(リンク先の②を参照)」を使用した後に左フォアアウトで踏み出すのにも用いますよね。
参考VTR:ルシンダルー選手(0:44辺り)

その他、ステップシークエンス・繋ぎのステップ・ステップからのジャンプ…と、様々な場面でよく見かけます。


…細かいことを言いますと、このターン、実はターンの直前にバックアウトがバックインにチェンジすることが多いんですよね。

図でも微妙にそうなっているのが分かりますでしょうか(アクセルのプレパレーションの図でもそうなっていますよね)。

これは別に間違っていることでも何でもなく、バックアウトからフォアアウトに強く踏み出そうとすると自然とそうなるので、特に問題はありません。


<<その2>>



【図:名前の無いターン #02】


個人的には「イン抜け」と呼んでいるターンです。

「バックイン→フォアイン」とするターンですね。

それ程印象的な使われ方の多いターンではないのですが、やはり各種ステップでは欠かすことのできないターンです。

個人的には、例えばターン後の右フォアインでスリーターン→右バックアウトに乗り、その右バックアウトの前に左バックインを置いてバッククロスに繋げる…といった用い方が印象深いです(動画で紹介しようと思ったのですが、動画が見つかりませんでした…)。


<<その3>>




【図:名前の無いターン #03】


このターンについては、個人的に特別な呼び方はしていませんでした(どうでもいい?)。

「バックイン→フォアアウト」とするターンです。

これまでのターンと異なり、ターン前と後で異なる方向の円を描くのが特徴でしょうか(トレースがS字になる)。

トレースやターンの回転方向から、片足で行うターンで紹介した「カウンター」に似たターンと言えますよね。

このターンも各種ステップで一般的に活躍し、欠かすことのできない存在です。


特徴的な用いられ方で印象深いものを幾つか紹介しますと…。

スピンのプレパレーションで「右バックインから入るパターン(リンク先の①を参照)」で用いるのが非常に定番…というのがまず一つ。
参考VTR:キムヨナ選手(2:35~2:36辺り)

余り例がないですが、ステップからのアクセルで用いる(ターン後の左フォアアウトで踏み出したところでジャンプ)というのもあります(リンク先の【ステップからのアクセル】の2番目のものを参照)。
参考VTR:カートブラウニング選手・ステップからのアクセル(1:13・3:39辺り)

更にレアな例として、トッドエルドリッジ選手のフリップのプレパレーションが印象深いですね(上のスピンのプレパレーション①でフリップを跳んでいる…といった印象です)。
参考VTR:トッドエルドリッジ選手・フリップのプレパレーション(1:08辺り)

…などなど、他にも沢山あります。


<<その4>>



【図:名前の無いターン #04】


スコットハミルトン選手がこのターンを用いた高速ステップ(以下の動画を参照)を得意とし、そのステップが彼のトレードマークとなっていたので、個人的にはこのターンを「ハミルトン」と呼んでいました。

「バックイン→フォアイン」とするターンです。

トレースだけを見るとモホークっぽくも見えるのですが、それとは異なります。

かなり特殊なターンで、各種ステップのあちこちに織り交ぜる…といった一般的な使われ方はしません(全く無いことも無いのですが)。

専ら、次のステップパターンで限定的に使われることが多いです。



【図:実際の使われ方】


参考VTR:スコットハミルトン選手(2:57辺り)

参考VTR:佐藤有香選手(2:58辺り)

参考VTR:伊藤みどり選手(0:58辺り)


佐藤有香選手・伊藤みどり選手のものが分かり易いでしょうか(佐藤選手のは観客への大サービス…といった感じですね)。

つまり、「モホーク」→「このターン」→「モホーク」→「このターン」…と繰り返すパターンです(上の動画でもそうですが、「モホーク」→「右バックアウトスリー」→…といったパターンと組み合わせることも多いように思います)。

フィギュア観戦歴の長い方でしたら、きっと「あ~あのステップね!」と見覚えがあるんじゃないでしょうか?

とてもフットワーク感にあふれるステップで、観客受けも良く、個人的にもとても好きだったのですが…。

旧採点方法時代にはよく見かけましたが、新採点方法になってからは余り見かけなくなったように思います。

「フットワーク」と「ステップシークエンスの性質の変化」で説明しましたように、使われなくなったのは、ルールにそぐわなくなったためかな…と思うところです。


…ところで、実はこのターン、他のターンには無い独特な特徴があります。

「足」の開き方が逆になるんですよね。

他のターンの場合、自分から見て足の開き方は…

「 \ / 」

という開き方になり、これを前提とした足運びとなる(他のターンの図ではそうなっていますよね)のですが、このターンの場合は…

「 / \ 」

という、謂わば「内股開き」とでもいうような足の開き方を前提としたターンとなっており(ターンの瞬間の足運びを床の上で試して貰えればよく理解できると思います)、かなり例外的な存在となっています。

人…という生き物は、足を「 \ / 」と開くのは割と得意なのですが、「 / \ 」と開くのはあまり得意ではないようで、それがこのターンが余り一般的に用いられない理由なのかなと考えたりします。


…そういったこともありまして、実際の感覚としては、まずモホーク等で身体に回転の勢いをつけ、その回転の勢いに乗ったまま、左バックインから右フォアインに軽く(ホントに軽く)跳び移るようにターンするのがコツとなります。

つまり、「 / \ 」と足を広く開けないことから不足する回転は、回転速度を上げて空中で回転して補おう…ということですね(ただ、回転速度が上がるほど、足の配置は「 | | 」に…平行に近くなると思います)。


その他の特徴…というか注意点としては、ターンして右フォアインに乗ったところで、フリーレッグ(左脚)は膝とつま先を伸ばし、右足の少し前方に配置する…ということでしょうか。

上の動画ですと、伊藤みどり選手のものが分かり易いでしょうか。

もっとも、回転のスピードが上がるとそんなことをやっている間が無くなってきますので、そうも言ってられなくなってくるのですが(「右足の少し前方に配置する」ということに関しては、上で述べたように足の配置が平行に近くなるので、「右足の少し前方に配置する」といった性質が希薄になります)。


==========


今回はこの辺りで。

次回は、恐らく知りたい方も多いと思われる「チョクトー」なんかを紹介したいと思います。



(つづく)

 


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[2009/08/20 21:12] | 技術関連 | トラックバック(0) | コメント(10) | page top
フリップとルッツについてのあれこれ

ご無沙汰しております。

今回の記事は、いつもにも増して一般向けしなさそうな感じですが…。

宜しくお付き合い下さい。

 

==========


<フリップ・ルッツの矛盾>

 

wrong edge というのは、ここを読んでいる皆さんならよくご存知だと思いますが、

①フリップ(本来は左バックインに乗る)を、左バックアウトに乗ってジャンプ
②ルッツ(本来は左バックアウトに乗る)を、左バックインに乗ってジャンプ

(注:逆回転の場合は左右を逆にして理解して下さい)

…そういった場合のエッジの誤りを wrong edge と呼び、これらは減点対象となります。

 

でも、これってよく考えるとおかしいんですよね。

というのは、例えば…

「ルッツをバックインに乗ってジャンプ…って、それはそもそも普通にフリップと呼べばいいんじゃないの? なんでそれを”ルッツのエッジの誤り”として扱うのさ? バックインに乗って跳んでいるんだから、それはまさしくフリップに他ならないんじゃないの?」

…といった素朴な疑問が生じる余地があり、この点で矛盾しているためです。

 

どうしてこのような矛盾があるのでしょうか?

…以下、その理由を推測してみますと…。

 

==========

フリップ・ルッツを明確に跳び分けるのは実際問題として中々難しく、大多数の選手はそれができない(その多くは、上の②に当てはまる…つまり正しいルッツが跳べない)…という事情がまずありました。

こういった事情の下で、単純にエッジの違いだけでフリップ・ルッツを区別・認定してしまうと、例えば典型的な例である「ルッツをバックインに乗って跳んでしまう選手」については、事実上フリップしか跳べなくなってしまう(ルッツのつもりで跳んでもフリップと認定されてしまう)ことになってしまい、これがあまりにも多数の選手に当てはまってしまうことになります。

そうなると、

 

「そもそも殆どの選手が跳び分けられないんだから、この点でその選手達にペナルティーを与えるとすると、ペナルティーを与えられることがデフォルトとなってしまうので、それはよろしくない」

「女子ショートのジャンプ構成で、3Lz+2T・3F・2Aという典型的な例があるが、例えば正しいルッツを跳べない選手がこの構成を採ったとして、単純にエッジの違いだけでフリップ・ルッツを区別・認定してしまうと、認定されるジャンプとしては3F+2T・3F・2Aとなる可能性が高く、2つめの3Fが無効な要素となってしまい、このようなリスクを多数の選手に課すことになってしまって好ましくない。仮にリスクを回避しようとして3Lzを3Loに変更したとしても、フリップ・ルッツの跳び分けが出来る選手に対して大きく評価を下げざるを得ず、しかもこれが多数の選手に当てはまるので、やはり好ましくない」

 

…そんな考えが出てきてもおかしくはありません。

そのため、エッジの違いによる厳格な区別はせず、「フリップっぽく跳んでいればフリップ」「ルッツっぽく跳んでいればルッツ」でいいんじゃない? 正しくエッジを使って跳び分けられる選手については技術面で多少差が出るように評価すればOKでしょう………そういった価値観が蔓延し出します。

これを受けて、ルール上はエッジによる厳格な区別をしない状態が続いている…。

==========

 

…というのが上記の矛盾の理由だと推測します。

これは、良く言えば「跳び分けの出来ない選手への配慮」ということになるのでしょうが…。

個人的には「跳び分けの出来ない選手、及び跳び分けを教えられないコーチに対する甘やかし」ではないかと思うところです。

…悪しき慣習…と私は考えます。

本来ならば、使ったエッジの違いだけでフリップ・ルッツを区別すべきなのですから(※)

フィギュアというスポーツの技術の進化を阻害するものでもあるわけですし…(4回転やセカンドジャンプのトリプルをバンバン跳ぶ時代になっても、フリップ・ルッツが跳び分けられないまま…っていうんじゃ、進化のバランスが悪すぎますよね)。

(※)ちなみに、実際問題として、競技上フリップ・ルッツをどの点で区別・認定しているのか…というと、これは「プレパレーションで区別・認定している」としか考えようがないように思います。

つまり、踏み切り時に使うエッジの種類に関わらず、プレパレーションがフリップっぽいものならばフリップと、プレパレーションがルッツっぽいものならばルッツと認定する(その上で使用エッジの誤りがあれば減点する)…というのが現状ではないかと考えます(参考:フリップのプレパレーションルッツのプレパレーション)。

ただ…そうすると、あるフリップ・ルッツについて、次の2つの条件…

①「今まで見たことの無いようなプレパレーションを使っている」
②「本人の意図としてはルッツのつもりだが、バックインで踏み切りを行っている」 or 「本人の意図としてはフリップのつもりだが、バックアウトで踏み切りを行っている」

…を同時に満たす場合に、ジャッジはどちらのジャンプとして判断するのか…という問題が出てくるように思いますが…どうするんでしょうね?

どちらの判断にするかによってGOEも変わってくるでしょうし、また場合によってはザヤックルール等のジャンプの制限に引っ掛かるかどうかという問題にも絡んでくるでしょうから、大きな問題になるとは思うのですが…。

もっとも、勿論皆さんご存知のように、近年では跳び分けの出来ない選手には明確にペナルティーが与えられるようになり、正しいフリップ・ルッツを習得しようとする動きが目立つようになってきました。

この点はフィギュアのあり方・進化の仕方として当然のことであり、長年放置され続けてきた部分にようやくメスが入った(選手・コーチに意識改革が現れるくらいに、ルールが実効性を持つようになった)という感でもあります。

各技術を点数で明確に差別化する…という新採点方法の特徴がもたらした、数少ないメリットの一つではないでしょうか(この特徴があったからこそ、正しいフリップ・ルッツを追求する動きが出てきたのだと思います)。

 

 

<どうして跳び分けられない選手が多いのか>

 

では、そもそも何故フリップ・ルッツを跳び分けられない選手が多いのでしょう?(最近は減っているようにも思いますが)

…これも個人的な考えですが、次のような理由が考えられます。

 

①ジャンプを習得する時期・順序の関係で、感覚的な混同が生じがち

②シングルルッツを習得する段階で、正しいルッツを跳べるだけの基礎力が選手に備わっていないことが多い

③たとえ誤りがあったとしても、取り敢えず的にルッツを跳べるようにすることを優先しがち

④誤った跳び方を修正したいとしても、一度身に付いた跳び方を修正するのは容易ではない

 

これらについてちょっと説明してみますと…。

まず、ジャンプ習得の順序ですが、おおよそ以下の順になると思われます。

(1)スリージャンプ(アクセルと同じ踏み切りで半回転だけして降りるジャンプ)
(2)サルコウ
(3)トウループ
(4)ループ
(5)フリップ
(6)ルッツ
(7)アクセル
(8)ダブルサルコウ
(9)ダブルトウループ
 ・
 ・
 ・

選手の個人差や先生の指導方法によって多少の順序の違いはあると思います…が、フリップとルッツについては、フリップ→ルッツの順で連続習得するのが通常だと思われます。

そして、大概の場合、フリップ習得後、ルッツ(正しいエッジのルッツかどうかはともかく)はすぐに跳べるようになります。

フリップとほぼ同等の感覚で跳べてしまうためです。

…本当ならこの段階で、先生が厳しくエッジの使い分けを指導すべきなのかも知れませんが、例えば…

 

「正しいルッツなんてモノは殆どの人が跳べないし、それが出来ないからと言って致命傷となるわけでもない(注:最近はそうも言ってられなくなりましたが)。取り敢えずでも跳べるようになることを優先しよう」

「(シングル)フリップを習得した段階で正しいルッツを習得するなんて無理だよ。正しいルッツを跳ぶには前提としてそれなりの基礎力が必要だし、この段階でそこまでの基礎力があるなんて到底思えない。取り敢えずでも跳べるようになることを優先しよう」

「誤ったルッツは、それなりに基礎力がついてきた段階で、少しずつ直していけばよい」

 

…といった思惑により、ルッツは敢えて適当に済ませるという先生も多いと思われます。

そういった背景があり、感覚的にルッツを「フリップのちょっと変形したモノ」と捉える選手が多くなるわけです(感覚的にルッツを「フリップとは別モノ」と捉えられる選手は希だと思います)。

ある程度力のついた段階で、選手に正しいルッツを習得しようとする意識が芽生える、或いは先生が正しいルッツを指導するなりして、すんなり正しいルッツが習得できればいいのですが、一度身に付いたモノを矯正するのはとても難しいことで(まっさらな状態から習得するより難しいかも知れません)、ずるずると悪い癖を引きずったままシニアになってしまった…そんなパターンが多いように思います。

 

…なお、「フリップにエッジの誤りがある選手(フリップをバックアウトで跳んでしまう選手)」についてですが…。

これは希なケースだと思います(TVではよく見かけますが、そもそもTVに出てくる選手というのは例外的な選手ばかりですので。通常はルッツにエッジの誤りがあるケースが多くなると思います)。

何故このような選手が出てくるのかと言いますと…。

私自身そういった選手ではありませんでしたので、推測しか述べられませんが…例えば、最初は正しくないルッツしか跳べなかったけど、ある時期ふとした切っ掛けで正しいルッツの跳び方のコツを理解した…そしたら凄く効率の良いルッツを跳べるようになった…という選手がいたとします。

そして、次第にその選手のルッツの技術はフリップに影響を与えだし、フリップもルッツと同等の感覚で効率良く跳ぼうとするようになり、その結果、フリップをアウトエッジで跳んでしまうようになった…というのが実情ではないかと思うところです。

…余談ですが、キムヨナ選手については、この「フリップにエッジの誤りがある選手」の傾向があるわけですが、ルッツよりもフリップが得意であるような印象を受けます。

上の理屈ですと、そういった選手は、ルッツがベースになってフリップに影響を与えるのだから、ルッツの方が得意になるんじゃないか…とも考えられるのですが、キムヨナ選手の場合、そこ(ルッツベースのフリップを習得した段階)から更にフリップに磨きをかけたため、エッジの誤りの可能性があるとはいえ、フリップの方が得意となったのではないかと想像します(結局のところ、ルッツよりフリップの練習量が多い(推測)という話なのかも知れません)。

 

 

<フリップ・ルッツの wrong edge はどちらも同価値?>

 

ところで、ルール上、「フリップの wrong edge」と「ルッツの wrong edge」の価値(減点量)は同じなのでしょうか?

…ルールの全てを調べた上で述べるわけではありませんが、恐らくそれらは、どちらかが低い価値として扱われている…といったことはなく、同じ価値として扱われている(つまり、同じ基準で減点され、その減点量も同じ)ように思えます。

そして、それはそれで妥当なルールかなとも思うのですが…。

この点、個人的に少し違和感を感じる部分だったりします。

というのは…。

「正しいフリップ」は、普通に練習していれば大体出来るようになると思うのですが(すぐ上で述べたような例外もありますが)、上で述べたように「正しいルッツ」の習得は中々難しく、「誤ったルッツ」を習得することが多くなります。

ならば、「正しいルッツ」を跳べるということは、それだけで高度な技術であり、普通によくある「誤ったルッツ」に対して大きな点差をもって高く評価すべき…と考えられます。

そして、普通によくある「正しいフリップ」については、それは普通なのだから、(上の「正しいルッツ」のように)特別高く評価する必要はなく、「誤ったフリップ」が純粋な技術としては難しいと思える(この点は、後の補足で説明)ことも考えると、「正しいフリップ」に対して「誤ったフリップ」を余り低く評価すべきではない…とも考えられます(※補足)

そのように考えると、同じ価値として扱うことはないのではないか…「誤ったルッツ」と比べて「誤ったフリップ」はそれ程低く評価する必要はないのではないか………というのが「同じ価値として扱う」ことに対して違和感を感じる理由かなと思うところです。

 

(※補足)

まず『「誤ったフリップ」を余り低く評価すべきではない』という考えに対しては、

『普通にやっていれば正しいフリップが跳べるのに、それが跳べないということは、簡単な技術(普通に皆が出来る技術)が出来ないということだ。なので、そんな「誤ったフリップ」は低く評価して当然だ』

という反論があるかも知れません。

…が、個人的にはその反論には手放しでは賛同できません。

よく考えてみると、フリップを跳ぶためには、通常プレパレーションとして

①「スリーターンから入るパターン」
②「モホークから入るパターン」

のどちらかを用いることになりますが(参考:フリップのプレパレーション)、「誤ったフリップ」を跳ぶとなると、これらのプレパレーションが次のように変化する(そうならないパターンもあり。この節の末尾参照)ということになります。

①の「スリーターン」が「ロッカー」に変化
(つまり、「左フォアアウト→スリーターン→左バックイン」の部分が「左フォアアウト→ロッカー→左バックアウト」に変わる)

②の「モホーク」が「チョクトー(右フォアイン→左バックアウト…とするターン。なお、厳密にはこれはチョクトーとは呼ばないかも知れません)」に変化
(つまり、「右フォアイン→モホーク→左バックイン」の部分が「右フォアイン→チョクトー→左バックアウト」に変わる)

(要するに、「インで跳ぶべきものをアウトで跳ぶ」のが「誤ったフリップ」ですから、このように跳ぶ直前のエッジが「イン→アウト」に変化し、それに伴いターンの種類も変化する…ということです)

…スリーターンよりロッカーの方が、モホークよりチョクトーの方が、それぞれ難しいですので、ジャンプのプレパレーションとしてはより難しいものに変化することになります(文字にするとちょっとした違いのように見えますが、実際には相当感覚・難度が変わると思います)。

それはつまり、「誤ったフリップ」というのは、「難しいプレパレーションを用いたルッツ(普通にルッツを跳ぶより難しい)」と同義と考えることができ、そのため、確かにフリップとしてはエッジが誤ってはいますが、純粋に技術としては「正しいフリップ」よりも高度…加えて、普通のルッツよりも高度な技だと思え、この点で『「誤ったフリップ」はもっと低く評価すべきだ』とする意見には素直に賛同できないところです。

…ただ、難しいことをしているとはいえ、それは無用な難しさであり、また、インサイドで跳ぶべきところをアウトサイドで跳んでしまうということは、エッジのコントロールが出来ていない証とも考えることもでます。

そういったマイナス面も考慮すると、純粋な技術としては難しいことをしていたとしても、ルール上、「誤ったフリップ」を「正しいフリップ」より高く評価すべきではなく、勿論低く評価すべきですが、その低さの程度については、「誤ったルッツ」ほど低く評価する必要はない…とするのが妥当ではないかと考えます。

(なお、細かいことですが、「誤ったフリップ」を跳ぶためには上のようにプレパレーションが変化する…と書きましたが、プレパレーションは変化せず、通常のプレパレーションにプラスして、跳ぶ直前に「左バックイン→左バックアウト」とチェンジエッジが生じるだけ…というパターンも存在します。個人的には、こちらの方が技術的には美しくない…難度としても上述のものより幾分劣る…と思ったりします。ただ、この場合であっても、純粋な技術としては、正しいフリップや普通のルッツよりも難しいと思えるのは同じです)

 

 

<その他>

 

 …余談ですが、「正しいフリップは跳べるが、正しいルッツは跳べない」という選手の典型例として、村主章枝選手を挙げておきたいと思います。

なぜ村主選手が典型例なのかという話は、少し置いといて…。

村主選手の場合、ルッツは「誤ったルッツ」として特筆すべきところはないのですが、フリップにちょっと注目してみて下さい。

参考VTR:村主章枝選手(4:26のフリップ)

確かに、ジャンプする瞬間の使用エッジは「左バックイン」で、「正しいフリップ」と呼べるものです。

が、 そのプレパレーション…村主選手の場合は必ず「スリーターンから入るパターン」のプレパレーションを用いますが、ここに注目すると、「スリーターン後の左バックイン」から直接フリップを跳ばず、「スリーターン後の左バックインで少し間を置き、跳ぶための踏み込み動作に入ると ころ辺りで一旦左バックアウトに一瞬チェンジエッジし、その直後再び左バックインにチェンジエッジしてジャンプする」といった流れになっているのが分かる と思います。

何故このような癖があるのか推測してみますと、このような選手は、まずフリップを習得する練習(あるいは普段のフリップの練習)で「ターン後の左バックインで腰が流れないように特に注意しながら練習していた(練習している)」と思われ、それが故に腰が流れていないことを確認するために間があるのであり、間があいたこの状態から急に「跳ぶことを前提とするインサイドの乗り」を作り出すのは難しいので、一旦アウト側にふくらみ、そしてインサイドに戻すことで、「跳ぶことを前提とするインサイドの乗り」を 作り出しやすくしている…というのが理由の一つではないかと考えています。

自転車に乗っていて、真っ直ぐ走っている状態から左に曲がろうとした場合、一旦右側に少しふくらんでから左に曲がった方が曲がりやすい…と思うのですが、あれとよく似た現象なのかもしれません。

…実はこの癖、フリップの癖として他の選手でもよく見かけるものだったりします。

ルッツに典型的なエッジの誤りがあり、フリップにもよくある癖がある…ということで、村主選手を典型例として挙げてみました(あと、跳び方の見た目の感じが典型的…というのもあります)。

 

==========

 

 …あれこれ書いてきましたが…。

いかがでしたでしょうか?

一応頑張って読んで頂ければ理解して貰えるように書いたつもりなのですが…。

分かり易く・簡潔に・誤解の余地をできるだけ生じさせない…という文章を書くのは難しいと、つくづく思います。

 

…蛇足かも知れませんが、もう少し書かせて貰いますと…。


上でも少し触れましたが、近年ではあからさまにフリップ・ルッツにエッジの誤りがある選手というのは減ってきたように思い、今後も恐らく減っていくことでしょう。

そして、跳び分けが出来る選手が多数を占めるようになり、最終的には「フリップ・ルッツを使用エッジの違いだけで区別・認定する」となれば良いのですが…。

それは中々難しいかも知れませんね(色々な理由から)。

跳び分けを上手に教えられる先生がいたとして、その先生が教え方を他の先生に広める・技術共有を持ちかける…といったことでもあればよいのですが…。


…どうすれば跳び分けが出来るのか。

これについては、以前別のエントリーでも書いたのですが、その文章を引用しますと…。

正しい感覚としては、ジャンプする瞬間において、フリップがどちらかというと右足に重心があるのに対し、ルッツは左足に重心がある…というのが私の考えで、前述の「偽ルッツ」を跳んでしまう選手は右足に重心をかけてルッツを跳んでいるのではないかと考えています。

この考えが正しいという客観的な証拠はありませんが、恐らくこの点が跳び分けの成否を左右するポイントだと個人的には考えています。

 

 


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[2009/07/18 18:40] | 技術関連 | トラックバック(0) | コメント(29) | page top
片足で行うターンの種類

以前、ターンの種類についてコメント欄で説明させて頂いたのですが、文章だけの説明では難しいと思い、改めまして図を交えながら説明したいと思います。

…今回はいつもにも増して長いですが…内容的に分割しない方がいいと思いましたので…。

お付き合い、宜しくお願いします。

 

==========

 

…と、その前に。

用語について少し説明をしたいと思います。

フィギュアスケート資料室さんの「用語辞典」から引用させて頂きますと…

 

●ターン…turn。片足で向きを変える動作。スケートを回転させる方向と、前後でカーブの向きが変わるか否かで4種類(スリー、ブラケット、ロッカー、カウンター)に分けられる。付録・ターンについても参照。呼び方はこの通りだが、同じターンでもエッジの数だけ(左足か右足か、初めが前向きか後向きか、インかアウトかで8通り)ある。ターンとは少し違うが、シングル・ペアのステップシークエンスではツイズル、ループもこのグループに入れて考える。

●ステップ…step。足を踏みかえる動作。モホーク、チョクトー、トウステップ、シャッセ、プログレッシブ、クロスロール、チェンジエッジなど。 ストロークなど両足の接氷時間が長いものはステップではない。

 

…ターン・ステップの意味については、そのようにあります。

おそらくそれは正しい意味です。

…が、当ブログではこの意味では使いません。

次のような意味で使います。

 

●ターン…前後の向きを切り替える動作を指す。片足・両足を問わない。

●ステップ…ターンを含む、ステップ動作全般を指す。

 

…多分これは厳密に言うと間違っていると思います。

でも、私は現場でこの意味で使ってきました(上述のような厳密な意味では使わなかった)し、それで周りにも通用していました(周りもそういった厳格な意味では使っていなかったように思います)。

ですので、当ブログでは今後もこの意味で使っていこうと思います。

そうしないと、例えばモホークをターンと呼べなくなってしまい、こういった点で凄い違和感が発生してしまいますので…(モホークをターンと呼べないのは、やはりおかしいと思います)。

なお、当ブログの意味によると、個々の技…例えばチョクトウやツイズルについて「これはターン?それともステップ?」といった疑問が生じることもあるでしょうが、その辺りは余り拘らないスタンスで行こうと考えています。

宜しくご理解下さい。

 

もう一つ。

一歩進んだジャンプの見分け方でも説明したことですが、復習の意味を兼ねて改めまして。

エッジの種類…これは以下の法則により、アルファベット3文字の組み合わせで表現されます。

 

{ R(右) or L(左) } + { F(フォア) or B(バック) } + { I(イン) or O(アウト) }

 

具体的には、例えば左フォアアウトですと「LFO」となります。

 

==========

 

さて、ステップにはいろいろ種類があるのですが、今回は以下の片足で行うターンについて説明したいと思います。

・スリーターン
・ブラケット
・ロッカー
・カウンター

たった4つ…なのですが、どのエッジでターンするかによって種類が細分化されます。

つまり、エッジには8つの種類がある(詳しくはココを参照)わけですから、8×4で合計32種類の片足ターン(※)があるということになります。

(※)…といっても、全部のターンを満遍なく使うわけではなく、よく使うターン・たまに使うターン・全く使わないターン…といった具合に、使用頻度に差があったりします。

また、同じ種類のターンであっても、使用エッジが異なるだけで…たとえば「フォアからのターン」か「バックからのターン」かが違うだけで、その感覚・難度・身体の制御方法などが違いますし、個人差によって得手不得手もあります。

 

…では、実際にそれらのターンについて見てみましょう。

(注意)以下の図例は、全て「左フォアアウトからのターン」で説明しています。どのエッジからのターンかでエッジの記号等が変わりますが、その辺りは適宜脳内変換してご理解下さい。

 

 

●スリーターン

スリーターン

別ウィンドウで図を表示する

これは以前にも説明しましたよね。

もう一度説明しますと…

 

・フォアからバック、或いはバックからフォアに向きを変えるターン

・ターンの前後でフォアとバックが入れ替わるのはもちろんだが、インとアウトも入れ替わる(例えば、左フォアアウトに乗っていてスリーターンをすると、左バックインになる)

・「ターンの回転方向(図では左回転)」が「ターン前のトレースの回転方向(図では左回転)」と同じになる

・「ターン前のトレースの回転方向」と「ターン後のトレースの回転方向」が同じになる(つまり、両トレースを併せると円になる)

・エッジの種類数だけスリーターンの種類があり、計8種類のスリーターンが存在する

 

…ということになります。

全てのエッジについて、スリーターンはよく使います。

…が、個人的な使用頻度を書くと…

①左フォアアウト・スリー
②右バックアウト・スリー
③右フォアイン・スリー
④左バックイン・スリー
⑤右フォアアウト・スリー
⑥右バックイン・スリー
⑦左バックアウト・スリー
⑧左フォアイン・スリー

…となりますでしょうか?(上ほどよく使います)

因みに、これはスリーターンに限らず全ての片足ターンで共通することですが、ターンの時においては、フォアからバックへの片足ターンの場合は「足のつま先側を軸にターン」し(図でもそうなっていますよね)、逆にバックからフォアへの片足ターンの場合は「足のかかと側を軸にターン」します(トレースはどちらも基本的には変わりません)。

 

 

 ●ブラケット

ブラケット 

別ウィンドウで図を表示する

余り使わないように思います。

…が、新採点方法になってから多少は脚光を浴びるようになった感もあります(後述の定番ステップパターンを除いて。旧採点方法の時代からそのステップパターンはよく使われていましたので)。

説明としては…

 

・フォアからバック、或いはバックからフォアに向きを変えるターン

・ターンの前後でフォアとバックが入れ替わるのはもちろんだが、インとアウトも入れ替わる(例えば、左フォアアウトに乗っていてブラケットをすると、左バックインになる)

・「ターンの回転方向(図では右回転)」が「ターン前のトレースの回転方向(図では左回転)」と逆になる

・「ターン前のトレースの回転方向」と「ターン後のトレースの回転方向」が同じになる(つまり、両トレースを併せると円になる)

・エッジの種類数だけブラケットの種類があり、計8種類のブラケットが存在する

 

…スリーターンとよく似てはいるのですが、やはり特徴的なのは「ターンの回転方向がスリーターンとは逆」ということでしょう。

たったそれだけの違いですが、スリーターンと比べるとやはり難しくなります。

 

最もよく使うのは「フォアインのブラケット」でしょうか。 

 印象的な例で言いますと、今シーズンの小塚選手のフリーのストレートライン、最後の最後、リンクの一番端に行ったときになされるターン(2:29~2:30)…あれがブラケット…この場合は右フォアインのブラケット…です。

腰の決まり方が理想的でとても良い感じです。

参考VTR:小塚崇彦選手

 

定番のステップパターンとしては、「バックアウト・スリー」→「フォアイン・ブラケット」というのが有名でしょうか。 

浅田真央選手がよく使っていますよね。

参考VTR:浅田真央選手

2:43辺りからクルクルと回って、その直後左バックアウトに乗り、「左バックアウト・スリー」→「左フォアイン・ブラケット」と繋げているのが一つ。

もう一つは2:56~2:57辺りで右バックアウトに乗り、「右バックアウト・スリー」→「右フォアイン・ブラケット」というものです。

 

逆に、全く使わない(或いは殆ど使わない)のが「バックインのブラケット」「バックアウトのブラケット」でしょうか。

特に「バックアウトのブラケット」は難しい(というか、怖い)ですので…。

 

 

●ロッカー

ロッカー 

別ウィンドウで図を表示する

説明としましては…

 

・フォアからバック、或いはバックからフォアに向きを変えるターン

・ターンの前後でフォアとバックが入れ替わるが、インとアウトは入れ替らない(例えば、左フォアアウトに乗っていてロッカーをすると、左バックアウトになる)

・「ターンの回転方向(図では左回転)」が「ターン前のトレースの回転方向(図では左回転)」と同じになる(つまり、ターンを終えるまではスリーターンと同じ流れ)

・「ターン前のトレースの回転方向」と「ターン後のトレースの回転方向」が逆になる(つまり、両トレースを併せると「S」の字になる)

・エッジの種類数だけロッカーの種類があり、計8種類のロッカーが存在する

 

特徴的なのは、「Sの字」「ターンの回転方向はスリーターンと同じ」ということでしょう。

 

ロッカーは旧採点方法時代からプログラムのあちこちで使われていまして、実例を示しますと…

参考VTR:佐藤有香選手

この動画ですと、2:13辺りの2A後のフライングキャメルを終わって、フォアクロスを3度くらい入れてからおもむろに「右フォアイン・ロッカー」でターン(2:30辺り)し、そしてバッククロスに繋ぐ…という感じになっています。

…いや、いつ見ても惚れ惚れします(「なにその安定感?」と突っ込みを入れたくなるほどです)。

フォアインのロッカーは、こんな感じに繋ぎのステップの中でアクセント的に用いられることが多いような気がします。

 

他の例ですと…

参考VTR:浅田真央選手

最初の3F+3Loの後、クロスを一回入れ、2回チョンチョンと跳ね、右バックインに乗ったところで「右バックイン・ロッカー」→「右フォアイン・ロッカー」→「右バックイン・ロッカー(※)」としていますよね(1:16辺り。3連続でクイクイっとターンする部分です)。

(※)細かいことですが、この最後のターンは、ターン後のエッジがちょっと曖昧です…が、多分ロッカーだと思います。

この場面では3回ロッカーを繰り返していますが、バックインに乗った後、偶数回(2回や4回)ロッカーを繰り返して止めるのが定番です(バックインから始まってバックインで終わる…という感じです)。

その定番パターンとしては…

参考VTR:村主章枝選手

ラストのストレートラインの冒頭で右バックインから4連続ロッカー→右バックインに乗ったところで止める…という定番通りのパターンになっています(2:17辺り)。

 

もう一つ定番としての使い方は…

参考VTR:高橋大輔選手

4:31辺りでバタフライで跳んだ後…

バッククロスを一回入れた後の右バックインでロッカーをし(このとき乗っているエッジは右フォアイン)、左バックアウトに乗ってクロス

…という「バックイン→ロッカー→クロス」というのも非常に定番ですね(一瞬なので分かりづらいですが)。

 

更にもう一つ例を挙げると…

参考VTR:小塚崇彦選手

先に紹介した動画と同じ動画ですが、ここでは「フォアアウトのロッカー」が使われています。

一回目は2:19~2:20辺り、リンク上の「SKATE」の文字の「T」を通り過ぎる直前のターン(これは「左フォアアウトのロッカー」です)。

二回目は2:26辺り、クルクルと回った後すぐの片足のターン(これは「右フォアアウトのロッカー」です)。

 

…沢山例を挙げましたが、例に挙げなかったロッカーに関しても結構使われています。

ロッカーに関しては、現採点方法になってからは8種類全てが割と満遍なく使われている印象を受けますね。

 

 

●カウンター

カウンター 

別ウィンドウで図を表示する

説明としては…

 

・フォアからバック、或いはバックからフォアに向きを変えるターン

・ターンの前後でフォアとバックが入れ替わるが、インとアウトは入れ替らない(例えば、左フォアアウトに乗っていてカウンターをすると、左バックアウトになる。この点はロッカーと同じ)

・「ターンの回転方向(図では右回転)」が「ターン前のトレースの回転方向(図では左回転)」と逆になる(つまり、ターンを終えるまではブラケットと同じ流れ)

・「ターン前のトレースの回転方向」と「ターン後のトレースの回転方向」が逆になる(つまり、両トレースを併せると「S」の字になる。この点はロッカーと同じ)

・エッジの種類数だけカウンターの種類があり、計8種類のカウンターが存在する

 

特徴的なのは、「Sの字」「ターンの回転方向はブラケットと同じ」ということでしょう。

カウンターも現採点方法になってから一層脚光を浴びるようになったステップだと思います。

 

…実はこのカウンター、一見難しそうに見えるのですが(いや、まあ難しいのですが)、実際やってみると意外と簡単にできたりします。

個人的には、ブラケットやロッカーの方が難しいと思うところです。

 

…では、実例を示しますと…

参考VTR:小塚崇彦選手

えーと、何度も登場させてすみません小塚選手…。

2:16にカメラのアングルが切り替わった直後のターン…これが「右バックインのカウンター」です。

ターン後にスケーティングレッグの後ろ側にフリーレッグをクロスさせるような動きをするのが、このターンの特徴です(この例ではちょっと極端目にクロスしていますが)。

非常に定番的によく使われますので、覚えておきましょう。

2:13~2:14にもカウンターが使われていますよね(この場合は「左フォアアウトのカウンター」)。

 

カウンターに関しては、この「バックインのカウンター」がよく見かけるのですが、「フォアインのカウンター」も時々見かけますでしょうか。

でも、「バックアウトのカウンター」は余り見かけないような気がします(「バックアウトのブラケット」同様難しいですので…)。

 

==========

 

●まとめ

いろいろと書いてきましたが、まとめますと次の図ようになります。

 

ターンの種類   

 

ただ、こういった知識があっても、実際問題としてその場その場で見分けられるかというと、そうでもないと思います。

ターンの瞬間瞬間で「いまどのエッジを使った?どの方向に回転した?」と判断するなんてことは、経験者でなければ、余程の動体視力と判断力を持った人でないと、まず無理だと思います。

やはり実例を何度も見て頂いて、ターン前後の上半身の動きやフリーレッグの動き(※1)、そして定番ステップパターン(※2)を覚えた方が、瞬時に理解できるのではないかと思います(このことは、一歩進んだジャンプの見分け方で踏み切るエッジに着目するのではなく、プレパレーションに着目したのと同様です)。

(※1)各エッジでの各ターンごとに、上半身やフリーレッグ等のおおよその動きは決まっています。ここでは説明しませんでしたが…。説明するととんでもなく長くなる上、選手向けの記事になってしまいますので…。すみませんが、各自ビデオ等で勉強してみて下さい。

(※2)ここで紹介した以外にも沢山存在します。

ビデオのスローやコマ送りなんかを駆使して勉強するのも効果的かもしれないですね。

一歩一歩のエッジの明確さという点では、今シーズンの現役選手の中では小塚選手が最も優れていると思いますので、ビデオで研究するのでしたら小塚選手の演技を観ることをお勧めします(今シーズンのビデオなら皆さん持ってますよね?)。

 


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[2009/03/25 19:02] | 技術関連 | トラックバック(0) | コメント(3) | page top
「質の高いジャンプ」とは? #02

前回同様、以下の文はあくまでも私見ですので、参考意見程度に読んで頂ければと思います。

==========

 

●クリーンな着氷であること

 

「クリーンな着氷」…これもよく聞く言葉です。

これが何を指すか…というと、単純に「着氷後のトレースに乱れが少ないこと」を指しているようにも思えますし、あるいは「完璧な着氷」といったニュアンスで使われているような場合もあるように思え、一概にコレといった特定の一般的意味合いは無いように感じます(強いて言えば「質の高い着氷」といった漠然とした意味合いになりますでしょうか)。

ただ…スケーター的視点から見て、個人的には…

 

「体にかかる自然の力(物理の力)に反さずに着氷すること」

「無理な力を必要とする感覚を覚えることなく着氷すること」

 

…といったニュアンスの意味が「クリーンな着氷」の意味としてしっくりくるような感じがします。

そして、(少なくとも着氷時に回転不足等の減点要素のないジャンプであることを前提として)それが具体的に何を指すかといいますと…

 

==========

・着氷後のトレース(=エッジが氷上に描く軌跡)に乱れがないこと

・チェックをそのまま数秒間維持し続けたならば綺麗な円のトレースを描けると感じられるほどチェックが安定していること

・チェック時に腰が回りすぎたりしないこと(オーバーターンやステッピングアウトを耐えるような状態にならないこと)

・チェック時のトレースの円の大きさが、プレパレーションのコースの延長として相応しい大きさであること(小さくなり過ぎたりしてはならない)

・チェック時の右バックアウトに深く乗りすぎないこと

・着氷の瞬間からチェックが安定するまで重心に乱れ(例:トレースは綺麗だが、着氷時の重心が後ろ側に寄りすぎている…など)がないこと

・着氷の瞬間に減速しないこと(着氷時にブレードの上に重心がない…つまり重心がずれている場合になりやすい)

・感覚的に「ストン」という感じで着氷できれば理想的(濁点がつくような擬音が相応しいような着氷はあまり良くない)

・空中での高速回転(身体を締めている状態)→着氷準備(回転を止めるために身体の締めを緩める)→着氷→チェックという一連の流れにおいて、上半身の制御、及び左足(=フリーレッグ)の動きに不自然さが無いこと(要するに、高速回転を止める動作→チェックに至るまで、動きに不自然さを感じないこと)

・着氷後に「流れ」があること

==========

 

…という感じになりますでしょうか。

意味的に部分的な重複があるものもありますが、これらを満たして「クリーンな着氷」になると考えます。

 

 

●着氷後に「流れ」があること

 

「クリーンな着氷」でも触れましたが、当然「流れ」がある(すなわち推進力がキープできている)方が優れています。

ただ、これに関しては次のような注意点があります。

一見「流れ」があるように見えても、次の2つの技術…

 

①チェックの姿勢を作るためのフリーレッグ(=着氷してない方の足。この場合は左足)を後ろに引く力の流れを利用して推進力を得る(回転力を推進力に変換する行為に相当すると考えます)

②チェック時の右バックアウトで押す(膝を曲げている状態から伸ばす)ことによって推進力を得る(スケートというものは、基本的に押すと推進力が発生します)

 

…そのような技術により、着氷時に減速してほぼ推進力がない状態に、無理矢理流れを作り出しているようなケースがあります。

良く言えば「テクニック」、悪く言えば「誤魔化し」…ということになりますでしょうか(但し、①については、明らかにそうしているというのは別として、回転している以上はある程度自然に起こりますので、仕方が無いとも言えます)。

 

なお、この技術は「流れ」のあるジャンプにおいても用いられることが多いです(より「流れ」を出すため)。

 

ちなみに、②についての確認の仕方は簡単です。

チェックで深く曲げた右膝を、着氷後間を置かずに伸ばす(押す)…といった場合、多くはこれに該当すると思います(但し、推進力を得るためではなく、進行方向をコントロールするために押す…という場合も結構あるように思えます)。

 

…個人的には「誤魔化し」という印象を与えないためにも、チェックは安定姿勢(右膝は伸ばしていない)に入ってから1~2秒程度は微動だにしない(右膝を伸ばさない)のが好ましい…と思ってはいるのですが…。

単独ジャンプならともかく、コンビネーションなんかになるとどうしてもスピードは落ちてしまうので、ある程度は仕方ないのかなとも思います。

でも、逆に言うとコンビネーションでそれができる(「1~2秒程度は微動だにしない」&流れがある)ということは凄いことだと思います。

 

 

●フリーレッグ(左足)の処理が美しいこと

 

こちらも「クリーンな着氷」で触れましたが、改めて。

スクラッチが入った状態から足を振りほどく過程が、物理的に自然な動きであることが望ましいです。

どういったものが物理的に自然か…というのは説明が難しいのですが…。

これについては実例を見て感じて頂くのが一番でしょう。

個人的にはエルビスストイコ選手・トッドエルドリッジ選手のフリーレッグの処理が美しいと思っています(前回から引き続きの紹介ですが)。

 

参考VTR:エルビス・ストイコ選手

参考VTR:トッド・エルドリッジ選手
(彼は回転方向が逆ですので、脳内で左右を逆にして理解して下さい)

 

特に演技後のスロー映像に着目して下さい(エルドリッジ選手の方が分かり易いでしょうか)。

 

①着氷直前でフリーレッグが(スクラッチ状態から)フワッと浮き上がり(前回の「基本的な考え」で述べた価値観「開いて回転を止めて」の動きに当たります)

②着氷した瞬間に「シットスピンでちょっと立ち上がったような姿勢」になり

③フリーレッグの自然な動きの延長としてチェック時のフリーレッグの位置に左足を持って行く

 

…という流れになりますでしょうか。

…これだけの自然な動きが出来る選手は中々いないです。

何度も見て、目に焼き付けるだけの価値は十分にあるでしょう。

特に「①の動き」と「①から②へと移る動き」については、両選手のように動ける選手は少ないです。

 

…一方、最近の選手では多いと思うのですが、着氷までスクラッチはほぼ閉じた状態で、着氷の瞬間、右膝が曲がるのを利用して、右膝で左膝の裏側を押し出すような感じで②の姿勢に移る(つまり①の動作が無い)…そういったテクニックを使う選手が多くなったように思います。

おそらく、ぎりぎりまでスクラッチ状態を維持した方が多く回転できるため、そういう技術に発展していったんじゃないか…と考えています。

この技術はこの技術として評価すべきだと思いますが…やはり基本的な考えとしての「開いて回転を止めて降りてくる」という部分に反するように思え、この点で少し疑問には思うところです。

…どちらが美しいか・理想的かと言われれば、やはり前者(エルビス・トッド両選手のような動き)だと個人的には答えてしまいます。

 

 

==========

 

…と、この辺りで終わっておくべきでしょうか。

敢えて書かなかったこと(ジャンプする瞬間の細々した注意点・テイクオフ時から空中軸を作るまでの間の注意点・回転を止めるための上半身の制御方法…など)もありますが、そういったものを書いてしまうと完全に選手向けの記事になってしまい、ちょっと趣旨が変わってきますので…。

 

 

 

(おわり)

 


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[2009/03/21 20:00] | 技術関連 | トラックバック(0) | コメント(16) | page top
「質の高いジャンプ」とは? #01

例によって、以下の文はあくまでも私見ですので、参考意見程度に読んで頂ければと思います。

==========

 

質の高いジャンプ…と聞いて、皆さんどういったジャンプをイメージされますでしょう?

高くて距離があって、着氷がちゃんとしているジャンプ…そういったイメージが一般的でしょうか。

実際のルール上もそんな点が最も重視されているように感じますし、そういった理解だけでも十分だと思います。

ただ、このルール…質の高さの判定はGOEによってなされることは皆さんご存知だと思いますが、具体的にどういったものが「質が高い」とされているのかは、よく知らない方も多いんじゃないでしょうか。

それをちょっと見てみましょう。

 

==========

(フィギュアスケート資料室さんから引用させて頂きました)

プラス面に対するGOE評価のガイドライン(2008年度)

<ジャンプ>

①[入り方の評価] 予期せぬ入り方、独創的な入り方、難しい入り方をしている

②[入り方の評価] 明確で評価に値するステップやスケーティング動作から直ちに跳んでいる

③[空中の評価] 空中で変形ポジションをとっている(③-1)、または回転の開始を遅らせている(③-2)

④[空中の評価] 高さや飛距離が素晴らしい

⑤[出方の評価] 着氷時に手足がよく伸びている、または独創的な出方をしている

⑥[全体の評価] 入りと出の流れ(加えてコンビネーション・シークエンスではジャンプ間の流れ)が優れている

==========

 

①と②については…ちょっと違いがよく分からないのですが、要するに(一歩進んだジャンプの見分け方で説明した)「ステップからのジャンプ」や「その他の入り方からのジャンプ」についての評価…でしょうか?

③-1については、例えば空中での回転時に片手を上げて回る(ブライアン・ボイタノ選手がよくやっていたヤツ)など、要するに「空中において本来不必要な動きによりジャンプの難度を高める」ことに対する評価。

③-2については、後述します。

④は「高さと距離」についての評価。

⑤は「チェック」についての評価。

⑥は「流れ」についての評価(流れのあるジャンプ…とか、よく聞きますよね)。

 

…曖昧な部分もありますが、おおよそそんな感じの意味だと思います(違うかもしれませんが)。

 

でも正直な話、スケーターとしての個人的価値観からすると、「もっと他にも評価すべき点があるんじゃない?」と思ってしまいます。

以下、そういったものも含めて、「質の高いジャンプ」について考えてみようと思います。

 

 

 

●基本的な考え

 

確か佐藤有香さんも仰っていたように思いますが、理想的なジャンプというのは…

跳んで上がってから締めて(閉めて?)回って、開いて回転を止めて降りてくる

…というものになります。

確かめたわけではありませんが、これはおそらくフィギュアスケート界で共通の認識だと思えます。

これが大前提。

故に、上の③-2「回転の開始を遅らせている」がプラス評価される(※)のであり、逆にジャンプ前に回転が開始してしまっているようなケースはNGとされるわけです(もっとも、これは上の大前提云々という話抜きにしても「回転の誤魔化し」であるわけですから、低く評価されるのは当然でしょう)。

(※)…といっても、(意図して)不自然なほど遅れさせすぎるのもどうかと思います(あくまでも、自然に、上がってから閉めている…と感じられるものが理想だと個人的には考えます)。確かにそれはそれで難度は上がると思うのですが、それこそ③-1で触れた「空中において本来不必要な動きによりジャンプの難度を高める」ということになりますので…。…あ、だから③-2は③-1と同じグループなのかも…。

 

 

●プレパレーションの質が高いこと

 

詳しくはこのエントリーを読んで下さい。

…私もよく分かりませんが、もしかしたら、優れたプレパレーションについては、GOEでは上述の⑥「入りの流れ」という部分でプラス評価されているのかもしれません(なお、「ステップからのジャンプ」「その他の入り方からのジャンプ」については、上述の通り①と②で評価されるものと思われます)。

具体的に「入りの流れ」とは何か…何をもって「優れた」としているのか…といったことは分かりませんが…。

 

因みに、フィギュアスケート資料室さんのココによると、「エラーに対するGOE評価のガイドライン」というものもあります。

つまり「悪かったら減点するけど、良かったとしてもプラスはしないよ」というものです。

そこにおいて、プレパレーションに関すると思しきものをピックアップしますと…

 

・準備動作が長い(※)

・踏切が拙い

・ジャンプの踏切が両足

・1つまたは両方のジャンプの踏切のエッジが不正(長さ・程度による)

(※)「準備動作が長い」という部分については、逆に優れる場合は「準備動作が短い」となるわけですが、これについては上述「プラス面に対するGOE評価」の②「~直ちに跳んでいる」という部分で加点されるものと思われます。

 

…下2つはプレパレーション云々以前の問題(当たり前の減点要素)なので除くとして…。

実質は上2つがプレパレーションの評価となる…ということになりますでしょうか。

 

…余談ですが、実際問題として、プレパレーションはそれほどルール上重視されているようには思えません。

まあ、スポーツ競技としては着氷の方をより重視するのは当然なのかもしれませんが…。

ちょっと寂しいですね…。

 

…もう一つ余談として、スコット・ハミルトン選手…下のVTRの時点で40歳前くらいだと思うのですが、それでも3Fや3Lzを余裕を感じさせるランディングでこなせるのは、プレパレーションが優れているため(トウを氷スレスレの位置からつく…など)なのかなと思ったりします。

参考VTR:スコット・ハミルトン選手

 

 

●空中姿勢が美しいこと

 

何が美しいかは人それぞれです。

…が、個人的には(上半身は置いといて)下半身については、右足に被せている左足をピンと伸ばす(※)のではなく、その左足は若干「く」の字に曲げ、右足と左足の小指の外側部分をくっつけるようにする(感覚的には、ガチガチに締めるというのではなく、緩やかに締める…といった感じでしょうか)…そういったカタチが美しいと思います(右足は軸足なのでピンと伸ばします)。

(※)左足をピンと伸ばす…というのは確かに物理的に効率が良いとは思うのですが、それを多少犠牲にしても上述のようにして欲しい…美しさを優先して欲しい(左足をピンと伸ばすのはあまり美しいとは思えない)…と個人的には思います。

そのカタチでは、脚と脚の間…膝付近と足首付近に幾らか隙間が出来ることもありますが、これは美点だと考えます。

…伊藤みどり選手のジャンプが絶賛されるのは、そういった「隙間」の美学(?)…といいましょうか、それを美しいと思える方が多い証拠ではないでしょうか(参考:中野友加里選手と伊藤みどり選手の巻き足について)。

まあ、伊藤みどり選手はちょっとカタチとしては特殊な例ですが、もう少し一般的な例で、かつ上のようなカタチが美しい選手としては、エルビスストイコ選手・トッドエルドリッジ選手を挙げたいと思います。

参考VTR:エルビス・ストイコ選手

参考VTR:トッド・エルドリッジ選手
(彼は回転方向が逆ですので、脳内で左右を逆にして理解して下さい)

 

…余談ですが、この姿勢はバックスクラッチスピン(※)の姿勢に相当するため、右足軸に左足を被せることを「スクラッチを入れる」…と私は呼んでいました(そういえば、バックスクラッチスピンも脚に適度な隙間があった方が美しいですね。上の両選手もそうですし)。

(※)右足を軸にして高速回転するスタンドスピンのことです。上のVTRでも両選手がプログラムの最後に入れていますね。最近(?)ですと、村主章枝選手もプログラムの最後によく入れているのが印象的です。

…あ、バックスクラッチスピンはフィギュア用語ですが、「スクラッチを入れる」は全然フィギュア用語じゃない(他では使えない)と思いますのでご注意を(でも、今後このブログでは説明のために使います)

 

 

●ジャンプに高さと距離があること

 

ジャンプを評価するのですから、これは当然です。

 

 

●チェックが美しいこと

 

姿勢・腕の角度・指先・腰の入り具合・乗り・フリーレッグ位置・フリーレッグのつま先が伸びているか…等々、いろいろ注意点はあります。

謂わば「決めポーズ」に相当するので、この部分で見る人の印象に与える影響は大きいでしょう。

個人的には、「腰の粘りが感じられ、かつポージングが美しいチェック」が好きです(腰の粘りについてはココを参照)。

 

 

 

(つづく)

 


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[2009/03/18 20:22] | 技術関連 | トラックバック(1) | コメント(8) | page top
前回のエントリーの補足

以下の本文は、前回のエントリーを読んだ上で読んで頂きたいと思います。

注意としては、これは前回のエントリーでも共通することなのですが、ここ(前回のエントリー含む)で書く言葉の意味の説明は、あくまでも私個人の感じ方として「こういう意味が一番しっくりくる」というものを記しているに過ぎず、フィギュアスケート用語としての定義を述べているわけではありません…ので、その点は了承して下さいね。

 

==========

 

「エッジワーク」という言葉…これもよく耳にする単語です。

 

前回のエントリーでは、現採点方法におけるステップシークエンスは…

「フットワークを重視するよりも、難しいターンを織り交ぜつつ、一歩一歩の乗りを丁寧に見せていく」

…ということを重視している傾向がある…といったことを書きました。

 

これはまさに「エッジワークを重視している」という表現がピッタリだと思えます。

 

つまり、エッジワークとは

「エッジの乗りを活かしたステップワーク」

…ということを意味する…とするのが感覚としてしっくりきます。

 

そして、フットワークは

「足さばきを活かしたステップワーク」

…というのがフィギュアとしての一般論的にしっくりくる感じでしょうか。

 

ただ、前回のエントリーで使った「フットワーク」という言葉については、そういった一般論的意味よりも幾らか限定的な意味合いで使いました。

 

上記の一般論的意味を、謂わば「広義のフットワーク」とすると、それは「狭義のフットワーク」とでも言いましょうか。

 

要するに、解説者が思わず「フットワーク」という言葉を使いたくなるような、素早い・小刻み・巧さ・安定・水面を飛び跳ねるような感覚…といった印象を受けるステップワーク…これが前回の「(狭義の)フットワーク」の意味なのかなと思います。

 

 

…そう考えると、旧採点方法時代のステップシークエンス…例えば前回紹介しました佐藤有香選手の動画でのストレートラインステップ…あれなんかは、「(狭義・広義の)フットワーク」と「エッジワーク」、どちらにも当てはまるんですよね。

 

そして、現採点方法のステップシークエンス…これは「エッジワーク」という表現が当てはまるのはもちろん、「(広義の)フットワーク」という表現を当てはめることも可能…と、そんなことを思ったりもします。

 


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[2009/03/16 19:58] | 技術関連 | トラックバック(0) | コメント(4) | page top
「フットワーク」と「ステップシークエンスの性質の変化」

前回のエントリーで誤解を招く発言をしてしまい、済みませんでした…。

多分、今後も間違ったことを書いてしまうかもしれませんが、その時はまた指摘頂ければ対応しますので、なまあたたかく見守ってやって下されば…と思います。

…ちょっとヘコんでます…。

 

==========

 

「フットワーク」という言葉があります。

他のスポーツでも使われるこの言葉ですが、フィギュアスケートの場合は何を意味するのでしょうか。

…私も正確にはよく分かりません。

でも、何となくのイメージはあります。

例えば…子供の頃河原でよく遊んでいた方なら経験があると思いますが、平たい石コロを捜して、それを川の水面スレスレの角度で投げ込み、川の表面をその小石が何度も飛び跳ねる…という遊びがありましたが、あの小石のチョンチョンと小刻みに跳ねる感覚がフットワークという言葉に近いイメージがあります。

別の例ですと…スキーでいうところのパラレルターンを小刻みに繰り返す様…モーグルで小さいコブの隙間を縫うように小刻みにターンを繰り返す様…そういったものがイメージ的に近いように思えます。

…上の2つの例は特にそう意識したわけではなく、無意識に書いたのですが、どちらにも「小刻み」という言葉が使われています。

「小刻み」というのが一つのキーワードなのかもしれませんね。

…それで、そのフットワークですが、フィギュアの場合、その言葉を聞いて(個人的に)パッと思いつく選手を何人か挙げてみますと…

 

①参考VTR:アレクサンドル・ファデーエフ選手

②参考VTR:佐藤有香選手

③参考VTR:エルビス・ストイコ選手(4:00~)

④参考VTR:カート・ブラウニング選手

⑤参考VTR:スコット・ハミルトン選手

 

…とと、キリがないですね。

皆さんステップの名手で、ただ小刻みで速いだけでなく、前提となる基礎部分での「巧さ」があるのが好感が持てるところでしょうか。

フットワークの意味については、こういった選手のステップに共通する部分を感じ取ってもらって理解して頂くのが一番早いと思います。

 

さて、そんなフットワークですが。

旧採点方法の時代では、ステップシークエンスにおいてはこのフットワークが重視される傾向にあり、左右のターンをバランス良く配置しつつ、フットワークを活かす構成を作るのが一般的でした(なお、上の動画のプロの試合①④⑤については、各ステップの構成がプロの試合ならでは(魅せる構成が重視される)というところがありますので、少し異なるものと理解して下さい)。

もちろん比較的スローなステップシークエンスも見かけましたが、ステップの巧さを見せることに主眼を置くのであれば、フットワーク重視の構成になることが多く、多くの選手もそのような構成を採用していました。

 

他方、現在の採点方法においてはどうかといいますと…。

このフットワークがあまり重視されない構成を取ることが多くなったように思えます。

つまり、以下のステップシークエンスのレベルを上げる要件を満たすことを最重視した構成(フットワークを活かすことを考えるのは二の次)になっているように思えます。

 

==========

 

(フィギュアスケート資料室さんから引用させて頂きました)

 

以下の必須の【 】を含めて、レベル2は2つ、レベル3は3つ、レベル4は4つの要件を満たすことが必要

 

【1】ターン・ステップのうち、次のものが行われている。(必須)

  • [ターンの種類に関して] スリー、ツイズル、ブラケット、ループ、カウンター、ロッカーのうち、レベル2・3は4つを2度ずつ レベル2はのべ6つ、レベル3はのべ8つ(同じ種類は2つまで数える)、レベル4は5つを両方向に1度ずつ
  • [ステップの種類に関して] ランニングステップ、トウステップ、シャッセ、モホーク、チョクトー、チェンジエッジ、クロスロールのうち、レベル2・3は2つを2度ずつ のべ4つ(同じ種類は2つまで数える)、レベル4は3つを両方向に1度ずつ

(2) 総距離のうち1/3以上は左回りの、1/3以上は右回りの(ターンやステップによる)滑走である。ただし、体が1回転することなく方向転換した部分については、総距離には含まれるが、左回り・右回りの計算では無視される。

(3) 両腕・胴・頭の3つのうち2つ(レベル4はすべて)を見る目に明らかに使っている。

(4) 回転方向の素早い転換。すなわち、ロッカー、カウンター、ツイズル、素早い回転のトウステップ 素早いステップの4つのうち、回転方向の異なる2つ(同じ種類でもよい)を素早く続けて行う。

  • 注意:跳びはねたようなターンは無視される。

  

==========

 

選手がこれらの要件を満たすことに主眼を置くことは当然だと思えます。

そうしないと点数が出ないわけですから。

そして、これらの要件を満たそうと思えば…旧採点方法の頃のように、フットワークを強調するためにスピードを出して突っ走る…といった構成にするわけにはいきません。

スピードを落として(時には進行方向とは逆走して)、要件を満たすステップ(や上半身の動き)を入れるために構成の密度を高める…そのような構成になるのは必然だと思います。

…推測ですが、そのような構成においてフットワークというのは相性が悪いように思え、そんな中、ステップシークエンスにおいては「フットワークを重視するよりも、難しいターンを織り交ぜつつ、一歩一歩の乗りを丁寧に見せていく」ことを重視する価値観が広がっていったように感じます。

ルールに引っ張られて、ステップシークエンスの性質が変化した…。

そう考えます。

 

別の考え方をしますと、このことは、フットワークが苦手な選手にチャンスができたということです。

上記推測が正しいことを前提に話を進めますが、例えば…。

フットワークが苦手な選手であっても、上記要件さえ無難に満たしさえすればそれなりのレベルが獲得でき(※)、仮にこの選手がレベル3を取ったとします。

(※)フットワークが苦手なのに「無難に満たし…」なんて簡単にできるの?…と思われるかもしれませんが、フットワークの能力というのはステップの基本能力の上位能力のようなもので、フットワークが苦手だからといってステップも必然的に苦手ということにはなりません(でも、フットワークが苦手な場合はステップの基本能力も不十分な場合が多いです)。また、一歩一歩の乗りを丁寧に見せていく…ということは、見方を変えれば「ステップをじっくり余裕を持って踏むことができる」…ということでもありますので、上手かどうかはともかく、取り敢えず要件を満たす程度なら、TVでよく見かける選手レベルならば簡単だと思います(レベル4となると話は違ってくるでしょうが)。

他方、ステップ・フットワークが得意な選手がいたとして、この選手がレベル4を目指して何とか頑張りますが、レベル4の壁は思いの外高く、レベル3にとどまったとします。

…上述のように、点数を狙うのであればフットワークを重視した構成は難しいわけで、フットワークのある選手としてはその良さを最大限に活かせない…。

とすると、フットワークの得手不得手による差が出にくくなるのはもちろん、レベル4が出にくい現状においては同じレベル3で勝負することが多くなり、結果としてフットワークが苦手な選手にもチャンスが生まれる…といった感じです。

 

…フットワークというのは、スケートの本質的な部分がそのまま反映されることが多い、ステップにおける本質のようなものですが、高橋大輔選手の特徴を記したエントリーでも言及しましたように、現在の採点方法ではそういった部分が評価されにくい(点数に反映されにくい)ように思え、上半身を大きく使う(これはステップの能力というよりは、踊りの能力に依存する割合が高いと思えます)といった、ステップの本質とは関係のない外面的な部分でレベル認定等がなされているように思えます(※)。

(※)上半身云々ということについては、上記①の動画のラストのストレートラインを見て頂ければ分かり易いと思います。これは相当凄いフットワークなのですが、ここにおいては上半身の基本位置に殆ど変化がない…ブレがないのが分かります。つまり、上半身を大きく使う…ということは、上半身の位置を変化させるということで、それはフットワークとは相容れないものであるということです。故にステップの本質とは関係がない…という話に繋がっていくわけです。

…因みに、速いステップとして、上記要件にもありますツイズル(片足でスピンのようにクルクル回転しながら進むステップ)がありますが、これはここで言うフットワークとは別物(ここで言うフットワークとは異なる技術が要求される)と個人的には考えています(ステップの連続というよりは、一連の回転動作をまとめて一つの技…一つのステップ…という感じです)。

 

…余談ですが、浅田真央選手について、個人的にはフットワークがある選手だと思っています。

ステップシークエンスでは、上述のステップ構成上の問題により、そのフットワークの良さを伺うのが難しいと思うのですが…(だからといって浅田選手のステップシークエンスの完成度が低いということではありません。フットワークとは別の方向性で完成度を高めていってるなという印象を受けます。この辺りは、上で紹介したビデオと現在の浅田選手のビデオを見比べて頂ければ分かり易いと思います)。

いつ見かけたかは忘れましたが、試合ではなく、浅田選手の普段の練習風景を撮影したシーンがTVで放送されていたんですね。

通常選手というのは自分なりの短い練習用ステップパターンというものを幾つも持っており、これを繰り返すことでフットワークを鍛えたり、あるいはウォーミングアップに使ったりするわけなのですが…。

その放送で見かけた浅田選手がそういった練習ステップをこなす様は、フットワークのある選手のステップ感そのもの…といった印象を受けました。

…というのがフットワークがあると思う理由の一つでしょうか。

個人的には、現在の踊りを巧みに織り交ぜながら踏んでいくステップもいいのですが、旧採点方法の頃のようなフットワークを最大限に活かした構成のステップも見てみたいな…と浅田選手に勝手な期待をしたりするのですが…。

 

…もう一つ余談ですが、現採点方法においては、ストレートラインステップよりもサーキュラーステップの方が若干フットワークを見せる構成であることが多いように感じます(なんとなくですが)。

 

 

 

…と、あれこれ沢山書いてきましたが…。

「今のステップシークエンスもいいけど、昔みたいなフットワークを活かしたものが余り見れなくなって、ちょっと寂しいな…」

…という一文で済んだんじゃないかと思うと…。_| ̄|○lll

 

==========

(3/16追記)

次のエントリーでこのエントリーの補足を書いておきましたので、よろしければ読んでやって下さい。

 


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[2009/03/14 18:22] | 技術関連 | トラックバック(1) | コメント(9) | page top
「膝の柔らかさ」とは?

フィギュアスケートの放送中にて、解説者が「膝が柔らかい」といった表現を使う場面をしばしば見かけます。

おそらく、その意味については「分かったような分からないような…」といった印象を持たれる方が殆どではないでしょうか。

今回はこの言葉について理解を深めるため、何か書いてみたいと思います。

 

========== 

 

一般的に「柔らかい」というと柔軟性を指しますが、これとは意味が異なります。

では「柔らかい膝」とは具体的に何を指すものなのか、といいますと…。

説明が難しいですね…。

イメージ的には「膝のサスペンション(※)が柔らかいような状態」ということにでもなりますでしょうか?

(※)車などのタイヤの根本部分なんかについていたりするバネ状の部品のことで、衝撃を吸収する役割があります。

あるいは「スケートの、氷へのタッチが柔らかい状態」と言い換えることもできるかもしれません。

…抽象的ですみません…。

具体論の代わりに、膝が柔らかい場合のメリットを挙げてみて説明を補完したいと思います。

 

 

<膝が柔らかい場合のメリット>

●スケート(=スケーティングやステップ)の一歩一歩にのびが出る(一歩一歩の押しの効率がよくなり、一歩で得られる推進力が大きくなる)

●↑により、「スケートが上手い」と評されることが多くなる

●複雑なステップを踏んでも、バック時にトウが氷に引っかかりにくくなる

●ジャンプに高さが出る

●ジャンプのランディングを「ストン」という感じに、柔らかく降りることができるようになる(降りれた場合に、クリーンなランディングである率が上がる)

●ジャンプのランディング時に腰の粘りが出る(オーバーターンやステッピングアウトの率が減り、チェック(※)が安定する)

●ジャンプに流れが出やすくなる

●上記のジャンプの各メリットにより、コンビネーションのセカンドジャンプが跳びやすくなる

(※)チェックとは、ジャンプのランディング時にとる姿勢を想像してもらえれば理解しやすいと思いますが、右膝をしっかり曲げて右バックアウトに乗り、左足は体の後ろ側に引き、両腕を左右に広げるポーズをとっている状態のことをいいます。 …因みに、ジャンプのランディング時だけでなく、スピンやステップシークエンス後にも(必須ではありませんが)よく用いられます。 スケーター的には『決めポーズ』『何かの技が終わった証としてつけるモノ』のような存在で、普段の練習からたとえその技が失敗してもチェックだけはしっかりするようにとコーチに叩き込まれます(見ている者の印象が良くなるため)。 立つ鳥跡を濁さず…でしょうか?

 

 

…細かい部分は他にもあるでしょうが、取り敢えずはこのような感じに挙げてみました。

膝が硬い場合は、上記メリットの裏返しがそのままデメリットとなります。

(なお、これらのメリット・デメリットは、必ずそうなるというわけではなく(例えば、膝が柔らかいからといって、必ずしもジャンプが高くなるわけではない)、あくまでも一般論として考えて下さい)

 

このように見てみると、膝の柔らかさというのは、とても重要な要素に見えます。

 実際その通りなのですが…やっかいなのが「膝の柔らかさは本人の才能に大きく依存する」ということです。

練習したからといって必ずしも膝が柔らかくなるわけではありませんし、膝が硬いのを矯正するといったことも殆ど不可能なのが現実です(できたとしても、下記の評価値でいうところの±1程度でしょう)。

では、膝が硬い選手は絶望するしかないのかというと、そうではありません。

膝の硬さを弱点として抱えつつ、押しの効率が悪いというのならより強いパワーでカバーしてスピードを出すというのも一手ですし(個人的にはそういったスケートを上手とは思えないのですが)、「体力」「演技の個性」といった膝の性質とは関係のない部分で勝負するというのもアリでしょう。

その他の部分についても、ある程度は練習量や本人のセンスでカバーできると思います。

なお、柔らかければ柔らかいほどよいのかというと、そうではないと個人的には考えています。

…私見ですが、あまりに硬すぎるというのは別として、硬い方に近い選手の方がステップ等の歯切れが良くなることが多いように思えます(但し、基礎をしっかりすればの話です。そうでなければ、膝の硬さも加わって、ステップ等は全体的にバタバタした印象になってしまいます)。

逆に柔らかい場合については、その柔らかさも度を超すとステップ等の歯切れの悪さに繋がり、全体的にまったりした印象の演技になってしまうことがある…と、これも個人的な考えですが、そう思っています。

 

 

 

…さて、これで一通り、膝の柔らかさについての特徴を押さえたように思えます。

 でも、ある程度のスケート経験が無いとそれを見分けるのは難しいかもしれません。

 そこで…あくまでも参考ですが、以下、適当な選手について、私の主観で膝の柔らかさを11段階評価(0~10)してみたいと思います。

 

(10~9)織田信成選手
(9)   荒川静香選手
(8)   小塚崇彦選手・トッドエルドリッジ選手
(8~7) 佐藤有香選手・横谷花絵選手
(7)   浅田真央選手・ミシェールクワン選手
(7~6) キムヨナ選手・中野友加里選手・陳露選手
(6)   村主章枝選手・伊藤みどり選手・エルビスストイコ選手・
      本田武史選手(晩年は+1程度)
(5)   鈴木明子選手
(4~3) 高橋大輔選手・安藤美姫選手
(1~0) 竹内洋輔選手・マリアブティルスカヤ選手

 

…微妙な部分もありますが、こんな感じでしょうか…?

誤差±0.5くらいはあるかもしれません。

真ん中の5が普通(硬くもなく柔らかくもない…といった表現が当てはまる選手)となり、そこを基準に上ほど柔らかく、下ほど硬い…となります。

因みに、上ほど優秀な選手で下ほど…とか、そういったことではありませんのでご注意を(同列内での左右の順も関係ありません)。

あくまで膝の柔らかさのみに着目したものですので…。

 

個人的には、8~6程度が理想かなと思います。 

6近辺は「膝の柔らかさを活かした瞬発力系選手」、8近辺は「膝の柔らかさを活かした物理的高効率系選手」…といった印象でしょうか(上に挙げた個々の選手に必ず当てはまる印象というわけではありません)。

 

<追伸>

「柔らかい」「硬い」…と漢字を使いはしましたが、「軟らかい」「固い」「堅い」といった漢字もあるわけで、どれが適切なのかは今ひとつ分かりません(要するに、適当に選びました)。

 


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[2009/03/03 21:11] | 技術関連 | トラックバック(0) | コメント(7) | page top
質の高いプレパレーションとは?

プレパレーションとは、以前にも書きましたように

「ジャンプやスピンに入る前の一連の準備動作」

のことを指します。

 

以下、ジャンプのプレパレーションを前提に話を進めますが、

近年このプレパレーションが軽んじられている印象を受けることが多いです。

 

…何を言いたいのかといいますと、

「プレパレーションが汚くても特に減点されないし、ジャンプ(やスピン)さえ決まれば点数を貰えるので、プレパレーションの質にはこだわらない」

…という価値観が、選手・コーチ・ジャッジに浸透してしまっているような気がするんです。

 

もちろん全員とはいいません。

 

プレパレーションが美しい選手も多くいます。

 

ジャッジやコーチにもプレパレーションを重視する方は居られるでしょう。

 

…でも、実際問題として

「プレパレーションは汚いがジャンプが跳べる(+他の要素がそこそこできる)ので上位ランクに属することになる選手」

が多くいるという事実を鑑みると、

プレパレーションが軽視されていると思わざるを得ません。

 

…そもそもプレパレーションは軽視されても良い存在なのでしょうか?

 

そうは思えません。

 

なぜなら、ジャンプというものは、

プレパレーションからの一連の動作の流れの中で跳ぶものであり、

故にプレパレーションをジャンプと完全に切り離して考えるべきではなく、

ジャンプの一部分として重視すべきと考えるためです。

 

それはつまり

「質の高いプレパレーションからは効率の良いジャンプが生まれる」

という価値観に繋がります。

 

…以下では「質の高いプレパレーションとは何か」というのを少し考えてみたいと思います。

 

(注)なお、「プレパレーションとジャンプの境界線はどこか?」という問題について、「ジャンプを跳ぶための踏み込み動作(=踏切足のヒザを曲げる動作)に入る瞬間」だとする考え方もありますが、ここではプレパレーションを「跳び上がる前の動作全般」と広く捉えて考えを進めていきます。

 

 

 

●基本的な考え

プレパレーションというのは、いわば「静」であり、ここにおいて突然な動き・大きな動き・不安定さを増大させる動き・不自然な動き・無駄な動き・癖のある動き…といった乱れがあってはいけません。

そこができた上で、「動」としてのジャンプに転じる…というのが美しい流れであると私は思っています。

…なんだか武術っぽい感じがしないでもないですが、共通するところがあるのかもしれません。

 

●トウジャンプにおいては、トウはできるだけ低い位置からつくのが効率が良い

つまり、「トウをつく足を大きく振り上げ、そして氷にトウを突き刺す」というのはダメ(不安定さを増大させるだけで、エネルギーの無駄だから)で、「トウをつく足は氷スレスレでキープし、そこからトウを氷に「トン」という感じでつく」というのが理想的だということです。

…が、これができていない選手がとても多いのが現状です。

トウループはそうでもないのですが、フリップ・ルッツで特に多いでしょうか(中でもルッツにエッジのエラーがある選手に多いような気がします)。

この点はフィギュア観戦歴の短い方でも判別しやすいでしょう。

 

●跳ぶ一瞬前に、上半身(腕も含む)をジャンプの回転と逆回転方向に「グワッ」と急に大きく捻り(※)、その反動を利用して回転の力を得ようとしないこと

あくまでも「スッ」と静かに捻るようにするのが理想です。

腕の振り回し感が強いようなものはNGです。

こちらも判別しやすいと思います。

(※)ジャンプでは、プレパレーション時において上半身をジャンプの回転とは逆回転方向に捻り、跳ぶときにこの捻りを元に戻す力をも利用して回転の力を生み出すのが基本です。

 

●エッジジャンプでは、踏み切るエッジにはじっくり・しっかりと乗ること

跳び急ぐ感じで踏み切るとやはり不安定になりますし、たとえジャンプが成功したとしても、動作としては突然感が強くなる傾向が高く、プレパレーションとしては美しくは見えません。

ただし、ループに関しては、近年では乗りが短くなる傾向があり、それでいて動作としても不自然な感じがしないプレパレーションを習得している選手も多くおり、この点は少し異なるものとして捉えておくべきでしょう(でも、基本は上述の通りです)。

 

●「構えすぎ」により不自然なステップにならないこと。美しい姿勢(=基礎で習得したはずの姿勢)を常に心がけること。

ジャンプ前のプレパレーションでは特にそうなのですが、ジャンプを普段の練習通り跳ぶことに集中するために、そのプレパレーションでは振り付けが入ることは余りありません。

なので、演技の他の部分で振り付けの入っているところ(気を配れるところ)等は美しくても、振り付けがないプレパレーションになると途端に動作に気配りが無くなり(ジャンプを跳ぶことに意識が集中しているので尚更です)、不自然な動作をしてしまう…という選手が多くいます。

逆に、このプレパレーションを自然で美しい動作でこなせる選手は、普段の練習からプレパレーションに気を配れている選手であることが分かります(そしてそのような選手は、他の様々な部分でも気配りができていることが多いです)。

 

●前傾姿勢になりすぎないこと

特に踏み込み動作に入るときにそうなる選手が多いでしょうか。

様々な部分での悪影響(重心の乱れ・エッジの乱れ・空中軸の乱れ…など)が考えられます。

 

 

 

…以上、大雑把ではありますが、幾つか列挙してみました。

 

他にも注意点は幾らでもあると思うのですが、キリがありませんので…。

 

得点に直接影響を及ぼす部分ではありませんが、

こういった部分から選手の技術ポリシーが透けて見えてくるように思えます。

 

 


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[2009/02/20 20:19] | 技術関連 | トラックバック(0) | コメント(3) | page top
スピンのプレパレーション

ジャンプのプレパレーションのついでですから、

スピンのプレパレーションについても簡単にですが説明しておきましょう。

 

 

<<スピンのプレパレーション>>

 

ジャンプと同じように、スピンにも定番プレパレーションが存在します。

といっても、それほど数は多くありません。

 

スピンのプレパレーション 

 

①もっともベーシックなスピンの入り方です。

最初の右バックインについては、逆回りのバッククロス(=左バックアウトの押し)を一度入れた後の右バックインをそのまま用いることが多いです。

 

②ベーシックなスピンの入り方、その2です。

右フォアイン・スリーから直ちにスピンに入ることができますので、こちらの方が演技中では多用されていますでしょうか。

なお、ジャンプのランディング時(或いはスピン終了時)の右バックアウトから直接左フォアアウトで踏み出してスピン(②の応用のようなものです)というパターンもたまに見かけます。

 

③右足スピンへの入り方です。

上記①②は左足スピンへの入り方ですが、こちらは右足スピンへの入り方となります。

この入り方は、点数の上昇につながるためか、現採点方法になってからは演技中でも多く見かけるようになりました。

最近では「バックエントランス」と呼ばれていますでしょうか(正確な定義は知りませんが)。

なお、直前のステップは左フォアインであることが多いです(右バックアウト・スリーの場合もよく見かけます)。

 

 

【その他】

フライング系のスピン(フライングキャメル・フライングシット・デスドロップ…など)でもこれらのプレパレーションを用いることが多いです(バタフライだけは左バックインでの踏切なので例外です)。

他にはトラベリングからのスピンというのもありますが(スルヤ・ボナリー選手がやっていたような気がします)、現在ではあまり見かけません。

 

 


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テーマ:フィギュアスケート - ジャンル:スポーツ

[2009/01/23 20:47] | 技術関連 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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