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「質の高いジャンプ」とは? #02

前回同様、以下の文はあくまでも私見ですので、参考意見程度に読んで頂ければと思います。

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●クリーンな着氷であること

 

「クリーンな着氷」…これもよく聞く言葉です。

これが何を指すか…というと、単純に「着氷後のトレースに乱れが少ないこと」を指しているようにも思えますし、あるいは「完璧な着氷」といったニュアンスで使われているような場合もあるように思え、一概にコレといった特定の一般的意味合いは無いように感じます(強いて言えば「質の高い着氷」といった漠然とした意味合いになりますでしょうか)。

ただ…スケーター的視点から見て、個人的には…

 

「体にかかる自然の力(物理の力)に反さずに着氷すること」

「無理な力を必要とする感覚を覚えることなく着氷すること」

 

…といったニュアンスの意味が「クリーンな着氷」の意味としてしっくりくるような感じがします。

そして、(少なくとも着氷時に回転不足等の減点要素のないジャンプであることを前提として)それが具体的に何を指すかといいますと…

 

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・着氷後のトレース(=エッジが氷上に描く軌跡)に乱れがないこと

・チェックをそのまま数秒間維持し続けたならば綺麗な円のトレースを描けると感じられるほどチェックが安定していること

・チェック時に腰が回りすぎたりしないこと(オーバーターンやステッピングアウトを耐えるような状態にならないこと)

・チェック時のトレースの円の大きさが、プレパレーションのコースの延長として相応しい大きさであること(小さくなり過ぎたりしてはならない)

・チェック時の右バックアウトに深く乗りすぎないこと

・着氷の瞬間からチェックが安定するまで重心に乱れ(例:トレースは綺麗だが、着氷時の重心が後ろ側に寄りすぎている…など)がないこと

・着氷の瞬間に減速しないこと(着氷時にブレードの上に重心がない…つまり重心がずれている場合になりやすい)

・感覚的に「ストン」という感じで着氷できれば理想的(濁点がつくような擬音が相応しいような着氷はあまり良くない)

・空中での高速回転(身体を締めている状態)→着氷準備(回転を止めるために身体の締めを緩める)→着氷→チェックという一連の流れにおいて、上半身の制御、及び左足(=フリーレッグ)の動きに不自然さが無いこと(要するに、高速回転を止める動作→チェックに至るまで、動きに不自然さを感じないこと)

・着氷後に「流れ」があること

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…という感じになりますでしょうか。

意味的に部分的な重複があるものもありますが、これらを満たして「クリーンな着氷」になると考えます。

 

 

●着氷後に「流れ」があること

 

「クリーンな着氷」でも触れましたが、当然「流れ」がある(すなわち推進力がキープできている)方が優れています。

ただ、これに関しては次のような注意点があります。

一見「流れ」があるように見えても、次の2つの技術…

 

①チェックの姿勢を作るためのフリーレッグ(=着氷してない方の足。この場合は左足)を後ろに引く力の流れを利用して推進力を得る(回転力を推進力に変換する行為に相当すると考えます)

②チェック時の右バックアウトで押す(膝を曲げている状態から伸ばす)ことによって推進力を得る(スケートというものは、基本的に押すと推進力が発生します)

 

…そのような技術により、着氷時に減速してほぼ推進力がない状態に、無理矢理流れを作り出しているようなケースがあります。

良く言えば「テクニック」、悪く言えば「誤魔化し」…ということになりますでしょうか(但し、①については、明らかにそうしているというのは別として、回転している以上はある程度自然に起こりますので、仕方が無いとも言えます)。

 

なお、この技術は「流れ」のあるジャンプにおいても用いられることが多いです(より「流れ」を出すため)。

 

ちなみに、②についての確認の仕方は簡単です。

チェックで深く曲げた右膝を、着氷後間を置かずに伸ばす(押す)…といった場合、多くはこれに該当すると思います(但し、推進力を得るためではなく、進行方向をコントロールするために押す…という場合も結構あるように思えます)。

 

…個人的には「誤魔化し」という印象を与えないためにも、チェックは安定姿勢(右膝は伸ばしていない)に入ってから1~2秒程度は微動だにしない(右膝を伸ばさない)のが好ましい…と思ってはいるのですが…。

単独ジャンプならともかく、コンビネーションなんかになるとどうしてもスピードは落ちてしまうので、ある程度は仕方ないのかなとも思います。

でも、逆に言うとコンビネーションでそれができる(「1~2秒程度は微動だにしない」&流れがある)ということは凄いことだと思います。

 

 

●フリーレッグ(左足)の処理が美しいこと

 

こちらも「クリーンな着氷」で触れましたが、改めて。

スクラッチが入った状態から足を振りほどく過程が、物理的に自然な動きであることが望ましいです。

どういったものが物理的に自然か…というのは説明が難しいのですが…。

これについては実例を見て感じて頂くのが一番でしょう。

個人的にはエルビスストイコ選手・トッドエルドリッジ選手のフリーレッグの処理が美しいと思っています(前回から引き続きの紹介ですが)。

 

参考VTR:エルビス・ストイコ選手

参考VTR:トッド・エルドリッジ選手
(彼は回転方向が逆ですので、脳内で左右を逆にして理解して下さい)

 

特に演技後のスロー映像に着目して下さい(エルドリッジ選手の方が分かり易いでしょうか)。

 

①着氷直前でフリーレッグが(スクラッチ状態から)フワッと浮き上がり(前回の「基本的な考え」で述べた価値観「開いて回転を止めて」の動きに当たります)

②着氷した瞬間に「シットスピンでちょっと立ち上がったような姿勢」になり

③フリーレッグの自然な動きの延長としてチェック時のフリーレッグの位置に左足を持って行く

 

…という流れになりますでしょうか。

…これだけの自然な動きが出来る選手は中々いないです。

何度も見て、目に焼き付けるだけの価値は十分にあるでしょう。

特に「①の動き」と「①から②へと移る動き」については、両選手のように動ける選手は少ないです。

 

…一方、最近の選手では多いと思うのですが、着氷までスクラッチはほぼ閉じた状態で、着氷の瞬間、右膝が曲がるのを利用して、右膝で左膝の裏側を押し出すような感じで②の姿勢に移る(つまり①の動作が無い)…そういったテクニックを使う選手が多くなったように思います。

おそらく、ぎりぎりまでスクラッチ状態を維持した方が多く回転できるため、そういう技術に発展していったんじゃないか…と考えています。

この技術はこの技術として評価すべきだと思いますが…やはり基本的な考えとしての「開いて回転を止めて降りてくる」という部分に反するように思え、この点で少し疑問には思うところです。

…どちらが美しいか・理想的かと言われれば、やはり前者(エルビス・トッド両選手のような動き)だと個人的には答えてしまいます。

 

 

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…と、この辺りで終わっておくべきでしょうか。

敢えて書かなかったこと(ジャンプする瞬間の細々した注意点・テイクオフ時から空中軸を作るまでの間の注意点・回転を止めるための上半身の制御方法…など)もありますが、そういったものを書いてしまうと完全に選手向けの記事になってしまい、ちょっと趣旨が変わってきますので…。

 

 

 

(おわり)

 


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テーマ:フィギュアスケート - ジャンル:スポーツ

[2009/03/21 20:00] | 技術関連 | トラックバック(0) | コメント(16) | page top
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