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2010-2011シーズンのルール改正
(6/11追記)

国際スケート連盟コミュニケーション第1611号(日本語版)が公開されましたので、少々追記したいと思います。

エントリーで翻訳した部分に該当するところをざっと読んでみましたが、大体翻訳はあっていましたでしょうか。
注目ポイントを適当に見てみますと…。

●「Under-rotated」は『回転不足判定』、「Downgraded」は『ダウングレード判定』と呼ぶことになった

●「Lacking rotation(no sign)」については『回転が足りない(記号無し)』と翻訳された
→1/4以下の回転不足に対する裁量減点を指すものだと思われます。

●諸注意の「3.」については次のように翻訳された:

シングル&ペア技術委員会はジャッジに以下の内容の注意を喚起したい;シングルのショート・プログラムにおける、複数のコネクティング・ステップあるいはこれに匹敵する他のフリー・スケーティング動作から直ちに行なうジャンプの前に、ステップまたは匹敵する動作が無い場合、あるいはステップ/動作とジャンプの間に中断がある場合には、ガイドラインに従いGOEの減点がなされなければならない.

→なるほど…確かにこの部分は慣例的に甘く採点されがちだったように思うところで、そこにメスが入った…ということですね。特にステップからのジャンプについて、今後少しでも甘い部分があれば積極的に減点していく…ということでしょうか。プレパレーションについては、今まで軽んじられていた印象があったので、個人的には賛成です。


==========(以下本文)==========


国際スケート連盟コミュニケーション第1611号(英語)が公開されました。

これが正式に決定とされたものなのかどうか(ISUの総会はまだですよね?…というか、総会での認証が必須なんですか?)…ちょっとよく分かりませんが、 こういった形で公開される以上はこの規定が2010-2011シーズンのガイドラインとなるものだと思われます。

昨年度と同じく、また適当に翻訳してみましょう。

手間の点で全部を翻訳するのは厳しいので、シングルのジャンプ関係を中心に見ていきます。

私はジャッジ実務に関わる人間ではありませんので、どうしても推測色が強くなってしまいますが、その辺りは留意しておいて下さいね。


==========


(以下、青字の記述は個人的な補足です)

国際スケート連盟コミュニケーション第1611号
シングルおよびペア・スケーティング
価値尺度(SOV)、難度レベル、及びGOE採点ガイドライン


Ⅰ.価値尺度(SOV)

新「アンダーローテーション/ダウングレード」ルールにおいての推奨事項を以下に記す:

●実際の試技において、ジャンプとスロウジャンプは、着氷と離氷の両方もしくは一方で、意図した回転に満たない場合がある。そうした回転の不足を伴ったエレメンツをアンダーローテーション(Under-rotated)もしくはダウングレード(Downgraded)と定め、以下の通り扱う:

1/4回転以下の回転不足のジャンプ/スロウは、回転が足りているものとの認定を受ける。
→この要素は、完全な基礎点と、ジャッジの裁量によるGOEとで評価される。

1/4回転超~1/2回転未満の回転不足のジャンプ/スロウは、アンダーローテーションとして考慮される。
→テクニカルパネル(技術専門審判)がアンダーローテーションと判断した場合、そのことは(GOEやPCSを判定する)ジャッジに知らされる。そしてプロトコルには、(3Aや3Fといった)要素記号の後に<と記載される(例:3A<)
→アンダーローテーションとされたジャンプ/スロウは、意図した回転数の基礎点の70%で評価する(例えば、4回転にチャレンジしてアンダーローテーションとなった場合、基礎点は4回転のものに0.7を乗じたものとなる)。なお実際の点数は、小数点第二位を四捨五入し、小数点第一位までで表す。(例:基礎点が6.0の場合は4.2とされる)
→アンダーローテーションとされたジャンプ/スロウに対するGOEの点数は、意図した回転数を基準に評価される(例えば、4回転にチャレンジしてアンダーローテーションとなった場合、価値尺度は4回転のものを用いる)

1/2回転以上の回転不足のジャンプ/スロウは、ダウングレードとして考慮される。
→テクニカルパネルがダウングレードと判断した場合、そのことはジャッジに知らされる。そしてプロトコルには、要素記号の後に<<と記載される(例:3A<<)
→ダウングレードとされたジャンプ/スロウは、1回転以上低いジャンプの価値尺度(SOV表)で評価される(例:ダウングレードとされたトリプルは、ダブルの価値尺度で評価される)。

●アンダーローテーション・ダウングレードとされたジャンプはどちらも、ウェルバランスによる制限(Well Balanced Program regulations)上は、意図した回転数でカウントされる(つまり、所謂ザヤックルール等のジャンプの制限は、これまで通り「意図した回転数」…すなわち「試みた回転数」でカウントする
(参考:FSでのジャンプの制限に関するまとめ(フィギュアスケート資料室様)(注:ここの(6)は現在では「コンビネーション見なし(基礎点1.0倍)」ではなく「シークエンス見なし(基礎点0.8倍)」となります))

●意図した回転に満たないツイストリフトは、1/2回転以上の回転不足の場合、こちらも同じくダウングレードとなる。


価値尺度表(SOV表)

※画像をクリックすると、別ウィンドウで拡大表示されます
※「BASE<」はアンダーローテーション時の基礎点です
※昨年度からどう変更したのかも記載しています
※因みに、コミュニケーション本文では1Lo/1F/1Lzの基礎点にアンダーラインが引いてあるので、この部分が変更されたものだと思ったのですが、私が調べた限りでは昨年度からの数値の変更は無いようでした。…この辺り、あまり正確さに自身がありませんので、正確な情報をお持ちの方は正誤確認のご一報を頂ければ幸いです。


Ⅲ.シングル/ペア要素の+GOE採点ガイドラインの更新(プラス面)
(この章は昨年度からの変更無し)

これらのガイドラインは、マイナスGOE 採点表と一緒に利用されるためのものである。プラス面およびマイナス面の両評価により、実施された要素の最終のGOE を決定する。重要なことは、要素の最終のGOEに、エラーによる引き下げだけではなくプラス面が反映されていることである。

最終のGOEを計算するためには、まず始めに要素のプラス面を考慮し、これがGOE評価の起点となる。次に、ジャッジはあり得るエラーのガイドラインに従ってGOE を引き下げ、その結果が最終のGOEとなる。

起点となる(プラス面の)GOEを確立するために、ジャッジは各要素に対して次の項目を考慮しなければならない。GOEの等級に対する項目の数は各ジャッジの裁量によるが、一般的には以下を推奨する。

+1:2項目
+2:4項目
+3:6項目またはそれ以上

ジャンプ要素
1) 予想外の / 独創的な / 難しい入り
2) 明確ではっきりとしたステップ/フリー・スケーティング動作から直ちにジャンプに入る
3) 空中での姿勢変形 / ディレイド回転のジャンプ
4) 高さおよび距離が十分
5) (四肢を)十分に伸ばした着氷姿勢 / 独創的な出方
6) 入りから出までの流れが十分(ジャンプ・コンビネーション/シークェンスを含む)
7) 開始から終了まで無駄な力が全く無い
8) 音楽構造に要素が合っている


Ⅳ.SP・FSでのエラーに対するGOE確定のためのガイドラインの更新

無価値(no value)要素はジャッジ・パネルに示される。そのような要素のGOE は結果に影響しない。複合エラーの場合には、それぞれのエラーに対応するGOEの引き下げが合算される。

以下、ジャンプ要素について。

(★は新設された項目)
(▲は削除された項目)
(昨年度から変更された部分については、昨年度の規定を灰色文字で記載)


<最終的なGOEが必ずマイナスとなるエラー>
(以下のエラーに一つでも該当すれば、最終のGOEは決してゼロ以上にはならない)

・SP:規定回転に1回転以上不足
→ GOE-3(最終のGOEは強制的に-3に確定…という意味)

・SP:1つのジャンプのみからなるコンボ
→ GOE-3

・★ダウングレード(記号<<
→ -2 ~ -3

・SP:ジャンプの前に要求されているステップ/動作が無い
→ -3

・転倒
→ -3

・1ジャンプの開始または着氷が両足
→ -3
→ -2

・1ジャンプの着氷でのステップ・アウト
→ -2 ~ -3
→ -2

・1ジャンプで両手がタッチダウン
→ -2

・ジャンプ間に2つのスリー・ターン(ジャンプ・コンビネーション)
→ -2

・F/Lzでの間違ったエッジでの開始(記号“e”)
→ -2 ~ -3

<最終的なGOEの+-は制約されないエラー>
(以下のエラーに該当しても、最終のGOEはゼロ以上であっても良い)

・スピード、高さ、距離、空中姿勢が拙劣
→ -1 ~ -2

・★Lacking rotation(記号無し)
→ -1
(直訳すると「回転の欠如(不足?)」ということになると思うのですが、これが何を意図するのかは今のところよく分かりません。が、個人的な推測ですと、恐らく「1/4回転以下の回転不足に対する減点」ということになるのではと思います。2008-2009シーズン以前に「1/4 回転までの回転不足(ダウングレードではない)」(–1 to –2)というエラー項目があったのですが、これが復活した形になるのではないかと思うところです(※)
(参考:国際スケート連盟コミュニケーション第1494号

(※)(後日追記)なお、注意して頂きたいのですが、「1/4回転以下の回転不足に対する減点」については「復活した」と表現はしましたが、昨年度(2009-2010シーズン)において「1/4回転以下の回転不足に対する減点」は存在しなかった…と考えるわけではありません。
昨年度は、「1/4回転以下の回転不足に対する減点」と「ダウングレードにおける減点」とが合わさって、後述の「▲回転不足」という一つのエラー項目となっており(と個人的に考えます)、ここで「1/4回転以下の回転不足に対する減点」がなされていた…と考えます。
「復活した」というのは、「1/4回転以下の回転不足に対する減点」が専用の単独エラー項目として復活した…という意味であるわけですね。

もう一つ注意して頂きたいのは、『1/4回転以下の回転不足があったからといって必ずしもこの「1/4回転以下の回転不足に対する減点」が課されるわけではない』と考えるという点です。
アンダーローテーション・ダウングレードのような、その範囲内の回転不足に対して必ずなされる減点とは考えない…ということですね。
これはどういうことかといいますと、成功ジャンプというのは多少回転が不足した状態で降りてくるのが通常で、全く回転不足が無い状態で降りてくるということは余り無いんですね(むしろ、全く回転不足が無い着氷は「回りすぎ」「ミス」と表現される場合が多くなると思います。そういった着氷は、ステップアウトやオーバーターン等に繋がる可能性がかなり高くなりますので…)。
それなのに1/4回転以下の回転不足があったからといって必ず減点されるということになりますと…よろしくないですよね。
…では、どのような場合に減点されると考えるのかといいますと、『1/4回転以下の回転不足ではあるが「グリ降り」の印象があるジャンプ』に対して減点がなされるのではないか(グリ降りの判断はジャッジの裁量)…と考えます。

いずれも個人的見解であり、公式の見解ではありませんので、加えて注意して下さいね。

・★アンダーローテーション(記号<
→ -1 ~ -2

・SP:ステップ/動作から直ちにジャンプしない、ジャンプ前のステップ/動作が1つのみ
→ -1 ~ -2

・拙劣な踏み切り
→ -1 ~ -2

・ジャンプ間で流れ/リズムが無くなる(コンビネーション/シークェンス)
→ -1 ~ -2

・拙い着氷(悪い姿勢/間違ったエッジ/引っかき等)
→ -1 ~ -2

・長い構え
→ -1 ~ -2

・片手またはフリー・フットがタッチダウン
→ -1

・F/Lzでの不明確なエッジでの開始(記号“e”)
・F/Lzでの不明確なエッジ“!”での開始
→ -1 ~ -2

・▲回転不足
→ -1 ~ -3

(2009-2010シーズンに登場したこのエラー項目は、『ダウングレード記号“<”はジャッジには示されない。ジャッジは(スロウ再生を用いず)見たままでGOE を評価する』というルールの新設に伴い、2008-2009シーズン以前の「1/4 回転までの回転不足(ダウングレードではない)」(–1 to –2)、及び「ダウングレード」(–1 to –3,–GOE)等が併合されて当時新設された項目であると考えます。そして、今回の改正で、“<”<<がジャッジに示されるようになりましたので、この「回転不足」というエラー項目はお役ご免となり、代わりに2008-2009シーズンの回転不足関係のエラー項目に相当する上の★の3項目が新設された(復活した)…というのが今回の改正までの一連の流れなのではないかと思うところです)
(参考:国際スケート連盟コミュニケーション第1557号


諸注意:

1.シングル・ペアにおける、フリップ・ルッツの“間違ったエッジでの開始”及び不明確なエッジでの開始は、テクニカルパネルから(GOEやPCSを判定する)ジャッジに示され、プロトコルには“e”と表示される。その上で各ジャッジは、エラーの程度(メジャーエラーかマイナーエラーか)とそれに対応するGOE減点を決定していく。

2.ジャンプコンビネーション・シークエンスにおいて、ハーフループ(※1)(もしくは“Euler”(※2))(バックで着氷)は一つのジャンプとして(プロトコルのエレメンツ記号の)一覧に記載される。よって、“ハーフループ+サルコウ/フリップ”や“バックアウトで着氷する適当なジャンプ+ハーフループ+サルコウ/フリップ”といった組み合わせは、2つ、もしくは3つのジャンプの組み合わせによるコンビネーションに相当するものとなる。ハールフープはシングルループの基礎点・GOEで評価され、テクニカルパネルからジャッジに示される。この場合プロトコルには“1Lo”として記載される。
(※1)ハールフープというのは、一回転のループを左バックイン(通常の回転方向の場合)で着氷するという技で、旧採点時代には「ステップからのジャンプのステップ部分」や「ジャンプシークエンスの繋ぎの部分」なんかでよく見かけるものだったのですが、新採点法になってからは(シングルでは)全くといっていいほど見かけなくなりました。
(※2)“Euler”というのは私も初めて目にした単語なのですが、調べてみたところ、どうやらフィギュアスケートのローラースケート版であるところの Artistic roller skating で使われている用語のようで、技としてはハーフループと同じものらしいです。


3.The S&PTC would like to remind the Judges that if prior to the element of Singles Short Program “jump immediately proceeded by connecting steps and/or by other comparable Free Skating movements” there are no steps and movements or there is break between steps/movements and the jump, the GOE must be reduced according to the Guidelines.
(ええと…これはどう訳せばいいんでしょうか? あまり重要なことではなさそうっぽい感じですが…。英語の得意な方、お助け下さい…)


==========


…みたいな感じです(誤訳があったらゴメンナサイ)。

結構色々変わりましたね。

以下、個々の部分について私見・推測を書いてみたいと思います。



■アンダーローテーションとダウングレード



まずは、アンダーローテーションとダウングレード…ですか。

ううん…良くも悪くも益々細かくなった…という印象ですね…。

吉と出るか凶と出るかは、実際の運用を見てみないと何とも言えないところですね。

…あ、「アンダーローテーション」「ダウングレード」という単語は、日本語のフィギュア用語として正式なものとなるのかどうかは分かりませんので、ご注意下さいね。



■価値尺度表


次の価値尺度表についてですが…。

見づらくてゴメンナサイ(各縦列の中央が新しい点数…と考えれば若干見やすくなりますでしょうか?)。


変化の一つの傾向としては、これまで各ジャンプの位置づけが

2A < 3T < 3S < 3Lo < 3F < 3Lz <<< 3A

みたいな位置関係だったのが、

2A << 3T ≒ 3S << 3Lo ≒ 3F << 3Lz <<< 3A

といった位置関係になったような印象がありますでしょうか。

「3T ≒ 3S」と「3Lo ≒ 3F」はまあいいかな?とも思うのですが、「3F << 3Lz」は随分差別化されてしまいましたね(そうでもない?)。

3F/3Lzはほぼ同等の感覚で跳んでいる選手が多いと思うのですが、それなりに点数で差別化するということは、今後3Lzはより厳しく見ていくということになるのではないか(点数が差別化された分、正しいエッジでの踏み切りをより厳しく要求されるのでは)…と思いました。


個別のジャンプについては、まず2Aの加減点幅(特に加点幅)が大幅に縮小されたところが目立ちますね。

流石に2Aの基礎点3.5に最大加点が+3.0(基礎点比約86%)というのはやり過ぎ…ということになったのでしょうか?

3Aを除くトリプルの加減点幅も結構縮小されていますよね。

3A以上のジャンプについては、減点幅のみが大きく縮小され、リスクが減少しています(基礎点もアップされていますね)。

1Aについては、基礎点で1Lzとハッキリ差別化されたようで、実際の難度の差が考慮されたようです(1Lzと1Aとの間には習得上かなり大きな壁があります)。

4Tは評価が高くなった…というよりも、4Sとひとくくりにされて価値が引っ張り上げられた…みたいな印象でしょうか。

高橋大輔選手が挑戦していました4Fについては、基礎点アップ・GOE減点幅縮小により、失敗してもそこそこ美味しいジャンプに。


全体的に加減点幅が縮小されたような印象で、質重視の流れが幾分抑えられ、高難度ジャンプ優遇の流れに変化した感じですね。

高難度技優遇の流れが強まると、「難度が高い技ならば、不完全な出来でもそれなりに得点が稼げてしまう」という悪い側面も出てくるように思うところで、こ のあたりの質・難度の採点バランスの取り方はとても難しいところだと思います。

改正の適否は、実際の競技での運用を見てみないと分からない…という感じでしょうか?



■最終的なGOEが必ずマイナスとなるエラー


「1ジャンプの開始または着氷が両足」が -2 → -3 となりました。

これは結構厳しい印象ですね…。

特に両足着氷ということについては、酷い両足着氷の場合も勿論あるのですが、成功ジャンプと殆ど印象が変わらないような場合が多くあり、にもかかわらずこれらを一律-3と評価するというのはどうかと思いました。

「見た目の印象と実際の得点との乖離」の原因となりうる部分ではないかと思います。



■諸注意


そして最後の「諸注意」。

まず最初の

1.シングル・ペアにおける、フリップ・ルッツの“間違ったエッジでの開始”及び不明確なエッジでの開始は、テクニカルパネルからジャッジに示され、プロトコルには“e”と表示される。その上で各ジャッジは、エラーの程度(メジャーエラーかマイナーエラーか)とそれに対応するGOE減点を決定していく。

これはどういうことかといいますと、恐らく、従来のアテンション(記号“!”)が無くなったということではなく、従来の“!”と“e”が共に“e”と表示されるようになった…ということだと思われます。

そして、この“e”マークがテクニカルパネルから(GOEやPCSを判定する)ジャッジに知らされ、それを受けたジャッジが「この“e”はメジャーエラー(=間違ったエッジでの開始(従来の“e”相当)かマイナーエラー(=不明確なエッジでの開始(従来の“!”相当)か」を各自判断し、その判断に従ってGOEを判定する…という流れになるものだと推測します。

この推測が正しいものとして話を進めますが…。

要するに「ロングエッジの有無の判断はテクニカルパネルが、ロングエッジの程度の判断はジャッジが、それぞれ担当する」という、テクニカルパネルの仕事の一部をジャッジが請け負った(ジャッジの裁量に委ねられた)形になる…ということですよね。

これはジャッジの責任が増しましたね。

「間違ったエッジ」と「不明確なエッジ」の違いは、『最終のGOEがゼロ以上と成り得るか否かの違い』でもありますので、この部分での各ジャッジの判断がGOEに与える影響は小さくありません。

従って、その判断が微妙となるジャンプの場合(かつ、そのジャンプがエッジの適否以外の点で質が高かった場合)、ジャッジのGOEにかなりのバラツキが出ることが想像されますが…大丈夫でしょうか?


次の、

2.ジャンプコンビネーション・シークエンスにおいて、ハーフループ(も しくは“Euler”) (バックで着氷)は一つのジャンプとして一覧に記載される。よって、“ハーフループ+サルコウ/フリップ”や“バックアウトで着氷する適当なジャンプ+ハーフループ+サルコウ/フリップ”といった組み合わせは、2つ、もしくは3つのジャンプの組み合わせによるコンビネーションに相当するものとなる。ハールフープはシングルループの基礎点・GOEで評価され、テクニカルパネルからジャッジに示される。この場合プロトコルには“1Lo”と して記載される。

…これはですね。

私、これを一瞥して、「大好きなハーフループを交えたジャンプが復権するのでは!?ヒャッハー」…と期待に胸をふくらませた(※)のですが…。

(※)ハーフループを交えたコンビネーション(シークエンス)・ステップからのジャンプというのは、名前の響きの印象以上に、それを用いない通常のコンビネーション等に比べて高度でテクニカルな印象があります。それを軽やかに・スムーズにこなしている様は、見ていてとても痛快で、私は大好きでした。スケートの地力が現れる部分でもあると思うところで、スケーターの力を見せつけるのにうってつけな要素だと思います。

その期待は一瞬で粉々にされてしまいました。

ハーフループに“1Lo”相当の得点を与えるというのは賛成だけど、これをコンビネーション・シークエンス上の一つのジャンプと数えてしまってはダメでしょう…。

例えば、ステップからの単独ジャンプとして「何らかのステップ→ハーフループ→サルコウ」というジャンプがあったとしても、これは2つのジャンプによるコンビネーションとされてしまうようですので、それをするくらいなら普通にコンビネーション(3S+2Tなど)を跳んだ方が良いということになります(基礎点だけを考えた場合。GOEは度外視)。

…と思ったのですが。

これ、3連続コンビネーションについては、結構期待が持てるんじゃないですか?

だって、例えば、旧採点時代によくあった「2A+HL+3S」(※1)(ここでは便宜上ハーフループをHLと略します)というのが、3連続コンビネーションとされてしまうのはデメリットである(※2)ものの、これまでだとシークエンス扱いとなって基礎点が0.8倍されてしまって利用価値が無かったのが、今回の改正でコンビネーション扱いとなって基礎点が減ずることが無くなり、更に“1Lo”分の点数が付くようになった…ということになるわけですよね?(※3)

(※1)実例:伊藤みどり選手(2:03辺り)

(※2)3連続コンビネーションはフリーにて1回だけトライでき、その権利を実質2連続ジャンプである「2A+HL+3S」で消費されてしまうのは勿体無い…ということですね

(※3)もう少し詳しく説明しますと、従来まではHLはジャンプではなくステップの一種と考えられており、「2A+HL+3S」といったジャンプは「ジャンプ+ステップ+ジャンプ」という構成の(2つのジャンプから成る)ジャンプシークエンスとされ、基礎点は0.8倍となってしまい、故にHLの利用価値は殆どありませんでした。今回の改正で、HLは1Loと見なされるようになった…つまりHLはジャンプの一種と考えられるようになったため、「2A+HL+3S」といったジャンプは「ジャンプ+ジャンプ+ジャンプ」という構成の(3連続の)ジャンプコンビネーションとして扱われることとなり、完全な基礎点(+HLの基礎点0.5のおまけ付き)を得られるようになった…ということだと思われます。

点数としては、「2A+HL+3S」の基礎点が 3.3+0.5+4.2 = 8.0 となり、例えば「3S+2Lo+2Lo」(基礎点7.8)なんかと比べてそれ程悪くない点数ですので、利用価値があるかも?

…おお、2Lo+2Loの部分が3.6(1.8+1.8)であるのに対し、HL+3Sの部分は4.7もあるじゃないですか。

いいんじゃないですか?もしかして?

2Lo+2Lo、2T+2Lo、2T+2Tといったものをくっつけるくらいなら、余裕があればHL+3Sをくっつけた方がお得…ということですね。


…ただ、そうなってくると問題になるのが、例のザヤックルール等のジャンプの制限ですよね。

例えば、「?+HL+3S」という3連続コンビネーションを入れてしまったために、単独3Sを入れていたところを2Aに換えなくてはならなくなった…とかいうことになると、例えば「?+2Lo+2Lo」の代わりに「?+HL+3S」とすることで増した基礎点+1.1が、3Sを2Aに換えることで減った基礎点-0.9と相殺され、結局+0.2しか基礎点アップが見込めず、殆ど変わりがない…ということにもなってしまうような…(「?+2T+2T」の代わりに「?+HL+3S」として、単独3Sが単独2Aになった場合は、最終的に基礎点が+1.0となります)。

ハーフループを取り入れる場合は、ジャンプ構成の練り直しが必要かも知れませんね。


…ちなみに、ハーフループの後にサルコウではなくフリップを跳ぶという選択肢もあるわけですが…。

私も試したことがあるわけではありませんのでやや未知数な所はあるのですが、かなり跳びにくいジャンプになると思われます。

理論上は可能だけど…みたいな印象でしょうかね?

出来る人、いるんでしょうか?(プルシェンコ選手がやっていたようですね)

仮にいたとしても、かなり無理をして跳んでいる(あるいは不自然な)印象になるのではないかと思われます(そうなると、GOEも見込み薄となるでしょう)。

点数的にも、「HL+3F」の部分の基礎点が5.8となり、「3T+2Lo」(基礎点5.9)を第二・第三ジャンプとして跳んだ場合より低くなりますので、それなら「?+3T+2Lo」を選択するでしょう…となりますので、出来たとしても利用価値は余りないかも知れませんね。


もう一つちなみに。

ハーフループの後に跳ぶジャンプとしては、実はトウループもあったりするんですよね。

具体的なやり方は、ハーフループ後の左バックインの横に右バックアウトを置き、そこからトウループ…という流れになるので、今回の改正でもこれはコンビネーションとしては扱われないとは思いますが、旧採点時代にはハーフループを交えたジャンプとしてサルコウと並んで定番とされるものでした。

ステップからのジャンプとしては「何らかのステップ→ハーフループ→トウループ」と、シークエンスとしては「何らかのジャンプ→ハーフループ→トウループ」と、そんな感じで使用されたりします。

…実は私も実戦でこのトウループを跳んだことがあったりするんです。

割と見栄えが良く、格好良いんですよね。

正確に決めるのは難しいんですが。


==========


以上です。

誤訳・解釈の誤り等があるかも知れませんが、ご容赦を…。

 


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